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わたしが死神になった日  作者: 葉方萌生
第四章 闘うことを誓い合った日

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4-2

***


「朝葉〜おはよう」


「え!?」


 夢から覚めて、現実の世界へとまた飛んでいくのかと思いきや、耳元で聞こえた八十神さんの声に心臓が飛び跳ねるような感覚がした。


「どうしたの。怖い夢でも見た?」


 核心をつく彼女の言葉に、躊躇いながら「うん」と返事をする。


「よし、なんの夢か当ててあげよう。ずばり、事故の時の夢ですね?」


「なんで……」


 力無く問う。答えなんて、聞かなくても半分は分かるような気がした。


「へへん、なんてったって、わたしには他人の夢を見ることができる力がありますから」


 得意げに胸を反らす女の子の姿を想像した。


「は? 他人の夢を見られる?」


「なーんて。さすがにこの嘘は分かりやすかったかな〜。今のは忘れて。とにかくわたしは朝葉のこと、なんでもお見通しなんです」


「……そうなんだ」


 からからと笑いながら嘘をつかれて、なんだか軽く見下されているような気がしてちょっと不快だ。

 だけどもう何を言われても驚かない。八十神さんがわたしを“神様”に当選させたってことは、わたしよりも“偉い”存在なのだということは理解している。


「ねえ、八十神さん。わたしは“神様”として、何をすべきなんだろうね」


 楓を救いたいという気持ちはもちろん変わらない。そのために、楓を死から遠ざけるように細心の注意を払っていることも事実だ。でも、それは私が勝手に現世に降りて成し遂げようと思った目標だ。そもそも八十神さんは、私に“神様”の力を与えて、何をさせようとしているんだろう。


「ん〜良い質問! じゃあ一つだけヒントをあげるねっ」


 弾んだ声で答える八十神さん。彼女と会話を重ねるうちに、なんだか八十神さんのことを身近な存在だと感じるようになったのは不思議だ。


「この世界には、嘘がある。その嘘に、朝葉の“神様”としての役割が隠れているよ」


「世界の嘘……?」


 意味深すぎる言葉にはたと思考をめぐらせる。

 世界の嘘なんて、そんなたいそうなミステリを、どうやって解き明かせばいいのか。

「ふふん」と鼻歌を歌い出した八十神さんは、それ以上はもう何も教えてくれそうになかった。



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