削れる雨傘
美津子は生まれつき足の不自由な女性だった。
両足に補装具を装着し、秋雨の中ヨタヨタと歩く。
「あの傘欲しいなぁ」
彼女が指さしたのは、ブランド物の桃色の傘だった。
「大切に使うからさぁ……」
珍しく強請られ、私はその傘を彼女にプレゼントした。
◇
彼女は、その日からその傘を愛用した。
雨が降る日はうきうきとさし、その姿は私の荒んだ心を温めた。
彼女は体が不自由なので、傘もそれ相応に痛む。
特に先っぽは日々削れていった。
手入れしながら使っていたが、日々短くなる傘。
傘が短くなる分、私は美津子と仲良くなっていくと感じた。
ある日、傘がポッキリと折れてしまう。
彼女は不吉だと悲しんだ……。
それ以来、美津子はあまりものを強請らなくなった。
◇
それから何年かが経ち、秋雨の季節となった。
私がショーケースに立ち寄ると、あの日と同じブランドの品が展示されている。
同じ色ではないが、傘も置いてあった。
……買って帰るか。
私はカードで精算。
美津子との待ち合わせの場所に急ぐのであった。
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