入学式のハプニング
ゆっくりと意識が浮上してきて、私は目を覚ました。
随分と軽くなった身体を起こす。
眼前には、家族の姿が。
「セスちゃん! よかったわ!」
黄緑色の長い髪の女性が、私に抱き着いてくる。
この女性の名前は、リナ・ツェリシアだ。
「よかったー、本当に。本当にびっくりしたんだから。セスちゃんが帰ってきたら、倒れるように寝ちゃったんだもん」
ハンカチで目元を押さえながら女性にうんうんと頷く黄土色の髪をした男性。ハイドル・ツェリシア。
言わずもがな、両親である。
私の目から見ても、美男美女である。
「カナエから聞いたが、王子達に会ったんだって? 王子達に何かされたのか? ちっ。あいつら……」
今のは私の兄。イリル・ツェリシア。
濃い緑色の髪で、澄んだ真緑の瞳を持っている。兄も当たり前のようにイケメンである。
不敬罪に問われないのだろうか、兄は。
「セス姉さまぁ。心配しました……。王子様達が姉様をこんな目に合わせたのですか? 許せませんね」
何やらよからぬ事を兄と相談し始めた私の弟。セドリー・ツェリシア。
私と同じエメラルドの髪に、つぶらな瞳をしている。
まあ実は、裏表ヤバすぎる系の癒しちゃんだ。
「何もされてませんから、何もしないでください。ただ私が勝手に疲れてこうなっただけです」
私がこう言っても、兄と弟は納得いかない様子。
ちなみに両親は、息子達の暴走に気付いていないのか ( 鈍感すぎ! ) 、目を覚ました私をにこにこしながら見ている。
仕方ない。
こうなったら、あれしかない。
必殺!
「お兄様。セドリー。今日は私の魔法学園の入学式なのです。私、お二人に普通に祝って頂きたいです……。ダメですか?」
最後に上目遣いをプラス。
読んでくださりありがとうございます!