初めての選択 ( 4 )
「カナエというのはあの者ですか?」
ライムルトさんが視線を廊下の奥へ向けた。全員の視線がつられてそちらへ向く。
私のドレスよりは大きく劣り大人しいが、綺麗なドレスを着た十九歳くらいの女性が見える。
「セス様!」
顔がはっきりと見えたら、その女性はカナだと分かった。
私は普段、カナエの事はカナと呼んでいるから、そこのところご了承ください。
私は『セス』と呼ばれてるよ。家族にもそう呼ばれている。
「何処へ行っていらっしゃったのですか! 心配したのですよ! こんなにもお顔が真っ青になって……」
そうなの。カナはかなりの心配性。凛々しそうなお顔がふにゃりと心配そうな顔になっている。
「ごめんなさい、カナ」
「ここにいる方々は――? もしかして!?」
カナは私の周りにいる王子様と騎士様に気づいた様子。
そりゃ驚くよね。
「ああ、僕達のことは気にしないでください。それよりも、セリスティーナさんは大丈夫ですか?」
「あっ、はい。ありがとうございます。セス様、今日はもうお帰りになった方が良いでしょう」
「そうですね、そうしたいと思います」
「明日は魔法学園の入学式ですよ。体調をしっかり整えてくださいませ」
魔法学園か…………。
確か、ここにいる攻略対象皆が通っているんだったよね。
行きたくないわー。
「それでは、失礼致します」
私は、カナに支えられながら廊下を進む。
去り際に、攻略対象者が全員顔を合わせたことに、ふらふらだった私は気づかなかった。
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