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初めての選択 ( 2 )


 それでは改めて、考えよう。


 何処に行く?

【廊下】【庭】【その場から動かない】


 頭の中に浮かんでいるこの言葉。

 何処に行くとか分かんねーよ。

 いや待てよ。

 カンペを調べた時に、一番初めの選択肢はこれだった覚えがある。

 結果はどうだったかな……。

 確かこの国の王子様と出会うイベントだったかな……。

 うん。だいぶ前の話だし、そもそも一瞬しか見ていないから覚えてないわ。


 ここで攻略対象のイケメン達について触れておこう。

 一人目。

 アーサイル・ウォーズイズ。この国――ハールズの第一王子。通称『氷の王子様』。深い青髪に獣の様な赤い瞳が特徴。過去の出来事により女嫌いなドS俺様王子。

 二人目。

 ライムルト・キューズ。アーサイルの第一騎士。通称『王子の騎士様』。漆黒の髪に紫色の瞳が特徴。無表情だが恋人になった途端溺愛してくる甘々騎士。

 三人目。

 ユウキューマ・アイワル。隣国――エンコの第一王子。通称『激カワ王子様』。炎のような赤紙にピンクの瞳が特徴。いつもは元気いっぱいのワンコ系だが実はさみしがり屋。

 四人目。

 ユキト・スノウィズ。隣国――モーガルの第一王子。通称『The・王子様』。雪のような白髪に透き通るような水色の瞳が特徴。優男で物腰穏やかなThe・王子様だが腹黒王子。

 五人目。

 ハルミルマ・チャール。隣国――ライザの第一王子。通称『完眼王子様』。輝く金髪に虹色の瞳が特徴。女好きで人たらしなチャラ王子。

 完眼というのは、相手の考えている事などが目を見るだけで分かるっていうことらしい。

 以上。

 攻略対象のイケメンについてでした。


 私の勘で行こう。

 庭には絶対に誰かいる。この城の庭は来た時にちらりと見たけどすごく綺麗で静かだった。きっと舞踏会の挨拶などに疲れた王子の内誰かがいるんじゃない? 現に私は外の空気を浴びたい。

 その場から動かない場合。

 人たらしっていう王子がいるからなぁ。声掛けてくるかも。

 じゃあ消去法で廊下かな。


 廊下に行くと決めたら、頭の中の言葉が消えた。

 手に持ったグラスを近くの机に置いて、私は廊下へ向かった。


《 結果 》

【廊下】攻略対象の男子全員と出会う。

【庭】ユウキューマと出会う。

【その場から動かない】ハルミルマに話しかけられる。




 大変な事が発覚した。

 迷ったわ。

 広すぎる。迷宮か、この城。

 こっちから来たような気がする。と思って私は適当に歩いていく。

 しかし歩き続けていると、足が痛くなってきた。

 ヒールが高いのよ、この靴。それにお腹が締められているからきつい。


「きゃっ!」


 案の定、躓いた。

 ぎゅっと目を瞑って、倒れる時の痛みを覚悟していたけど、痛みは一切襲ってこない。

 代わりに誰かがそっと受け止めてくれた感触が。

 まさか、と思って目を開けると、これも案の定、氷の王子様がそこにいらっしゃった。

 私を覗き込む赤い瞳。

 ゲームで姉に見せつけられた時の顔よりも、何倍も何百倍も顔の破壊力がやばい。

 要はめっちゃイケメンってことよ。


「気をつけて歩け」

「も、申し訳ありません……。失礼致しました…………」


 とにかく私はそこから離れたくて、ぺこぺこと頭を下げながら引き下がろうとするが、突然の目眩に身体がぐらりと揺れた。

 すると再び誰かが私を支えてくれる。


「大丈夫ですか?」


 王子の騎士様である。こちらもイケメンすぎるっ。

 貴方の美しすぎる黒髪が私の顔にかかってしまいますっ。それに貴方の身体から低音が響いてそう……私がもたないわ!

 私は必死に彼から離れようと奮闘するも、彼の力は尋常じゃねーわ。流石騎士。


「どうしたの? 何かあった?」


 次はてこてこと廊下の向こう側から少年が歩いてきて私達の所へやって来る。

 もしやこのお方も、攻略対象のイケメンではないか。

 燃えるような赤い髪をして、優しいピンクの瞳。それでいて可愛らしい容姿!

 声は意外と低くイケボ。


「ユウマ、お前は何処へ行ってたんだ?」

「散歩だよぉ、散歩。でさぁ、その可愛い女の子は誰?」


 散歩、という事は彼が庭に行っていたのかな?

 それにしても『ユウマ』とは『ユウキューマ』の愛称だろうか。

 可愛王子様は氷の王子様初め二人が役に立たないと思ったのか、私の方をそれはそれはいい笑顔で見る。


「ねぇ、君は誰? 名前は?」


 何? もしかして廊下の選択は間違っていた?

 冷や汗と寒気が止まらない。

 そう思い始めたその時。


「うわぁーお。ライム君が女の子を抱き締めてる」

「こんなところにいたのですか、アーサー君達は」


 なんと不運な事に、白髪のイケメン青年と金髪のイケメン青年がやって来てしまった。

 もしかしなくてもこのお二人は――


読んでくださってありがとうございます。

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