表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/29

初めての選択 (1)


 皆が皆派手なドレスやスーツを着飾って、話し合っている。中央では、優雅に音楽に合わせてワルツを踊っている人達が。

 私は一人で壁に寄りかかって、手に持っている飲み物をコクリと飲む。

はぁ。

 こういう人の多いところは苦手だわ。どこか一人でブラブラでもしようかしら。

 と考えていたその時。

 頭の中に謎の言葉が思い浮かんだ。


 何処に行く?

【廊下】【庭】【その場から動かない】


 知るかよっ!





 私――セリスティーナは今、舞踏会に参加中。

 そして、頭の中に思い浮かんだこの言葉を見て、唐突に思い出したんだ。

 秋原瀬莉(あきはらせり)。十六歳。

 私は、死んだ。

 持病が急に悪化して。

 そして、転生したと思われるこの世界が、俗にいう乙女ゲームの世界だということも。


 何故この世界が乙女ゲームって分かったかって?

 理由は、私の姉がこのゲームをしていたから。私は乙女ゲームとかに全く興味がなかったけど、姉に攻略方法を調べてくれと言われて調べたことがあった。

 まあいえば、カンペだよね。

 そこで、好感度が上がる選択肢などを私は全て見た訳だよ。

 その選択肢というのが、多分私の頭の中に思い浮かんだ『何処に行く?』というものだと思う。


 本当に私は不運だ。

 恋愛経験ゼロ、初恋経験ゼロ、もちろんキスなどもした事ない。

 したいとも思わないしっ。

 なのにこのゲームではガンガン攻略対象のイケメン達と身体を触れ合わせる。俗に言う『R18』の乙女ゲームよ。

 それに全員ヴァンパイアだと。

 ほんとに怖いわー。血、飲まれるんでしょう?

 私、そんな事されたくない。

 それに、そんな事をされたらお父さんとお母さんに顔向けできない。なんて親不孝な子供なのよ、ってなる。自分が。

 そもそも転生する前私は十六ですよ? それがこんな『R18』の世界に飛ばされるなんて……神という存在がいるなら裁判所に訴えてやりたい。


 だから私は思いついた。

 覚えている限り、好感度があんまり上がらない選択をして、攻略対象イケメンとの触れ合いがないようにすればいいということに!

 不幸中の幸いよ。ここが乙女ゲーム世界だと言うのを知っていたのは。

 これくらいの幸せは欲しい。

 出来ればもっと欲しかった。


読んでくださり、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ