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逆ハーレムはいりません。代わりに君の愛をくれますか?

作者: マオ

連載の方に少し飽きたので息抜き的な感じで・・・

なのであまり細かくかいてません。ざまぁは・・・どこかであったと思います。ヒーローがやったんじゃないかなぁと。

かくつもりはありません。

十七歳の誕生日を迎え成人したその日。

父親に呼び出されて、婚姻決定の勧告を受けた。

・・・父さんの顔色は、すこぶる悪かった。


「・・・選んでくれって言うんだ。先方が。しかも全員から。たかが弱小企業の家が日本屈指の名家の人間やらノーベル賞受賞したことある研究者やら天才プラグラマーやら選べるわけないだろう・・・?」


うん、そうだね。御愁傷様。父さんが哀れすぎて自分の境遇を嘆くつもりにもなれないよ。


「何でご本人は悠々とお茶を飲んでるんですかねぇ・・・?」


おや、父さんが敬語で私に接するとは珍しい。混乱が極限までいったか。


「用意されていたからではないかと」

「そうか。用意した俺が悪かったのか」


う〜ん、ここまですぐに納得されるのもそれはそれでつまんない。


「で、婚姻決定って、誰と?」

「よくぞ訊いてくれた」


いきなり顔色良くなったね。今から言おうとしてることが簡単に予想つくわぁ。


「選んでくれ。この五人の中から」

「やなこった」


ティーカップをテーブルに戻しながら即答した。

この世の終わりみたいな顔してるとこ悪いけど、一応社長である父さんが選ぶの無理っつってんのに、私が選べるわけないよね?正気ですか?

・・・や、正気じゃなくなる程混乱してるからこれでいけると思ったのかな。


「だが、だがな、我が娘よ。あちらは娘さんに決めてもらえばと言っておられるのだ!」


これで勝ったと言いたげな・・・・・・まあそんな顔。


「じゃあ全員お断る」

「・・・・・・無理に決まってるだろう!!!」


わぁ、びっくりした。

結構真面目に驚いたよ、父さん。心臓ドキドキしてる。


「大体断れるものならとっくに断ってるよ!」


そりゃまあそうだろうね?父さんは基本そこまで権力欲ないし、我が家は全員身の程というものを弁えてるもんね?

何故そんな家に生まれた私が大袈裟な肩書きを持つ男たちに婚姻、結婚を申し込まれることになったのか。


話はいつ頃かちょっと正確に思い出せないけど(多分)大体きっと三、四ヶ月前に遡る。


「橋川 友莉。お前に話がある」


放課後の教室、って言ってもチャイムと同時に走り出す帰宅部の人たち以外は結構な割合で残ってる時間帯。

教室の扉前で俺様ドS?だったかな、で顔がいいってことで有名な男子生徒が私の名前を呼んで扉に凭れかかった。

たった今来たばっかでいきなり扉に凭れかかるとか、行儀悪すぎないかな?そんなに体力ないの?確か運動勉強それなりって話だったと思うけど。中の上程度の。


「・・・・・・」


無視して荷物を纏めようとする私に、何故か当事者よりもクラスメイトの方が慌てて


「行ってあげて、橋川さん!」


ってお願いしてきた。何か、いきなり呼びつけられて偉そうに待たれてる私よりお馬鹿さんに同情してる雰囲気な気がするのは・・・・・・気のせいで合ってるよねぇ?


「へいへい何でごぜ〜ますか」

「ついてこい」


え、何で。

普通に嫌だよ。名前もしら・・・あ、いや知ってるか。うん、それでも顔も知ってる。これで知らない人って通すのは無理あるかな?でも直接の面識があるわけじゃないし。

よし、とりあえず今日はさっさと家帰って動画見たいし、断るかね。


「お断りしま」

「「「「「橋川さん行ったげて!!」」」」」


・・・だから何で君ら被害者(わたし)よりも加害者に同情した目向けてるの?

何で?私何か悪いことした?心当たりないんだけど。

ついでに被が・・・違う違う、加害者さんに呼びつけられる心当たりもないんだけど。


んで、結局クラスメイトに縋るような目を向けられて、この世の理不尽を恨みながら俺様男についてくことにした。

面倒なことになりそうだったら逃げよう。と思いながら。


「入れ」

「やだ」


・・・いや、私だって他のとこなら別に入ったと思う。

でもさ、貴賓室って、何で?誰がいたらそんなとこに一学生が入ることになるの?

真面目に私悪いことしたのかな?だとしたら何故面識のない他人が迎えに来たのか謎なんだけど。先生に押し付けられた?だとしたらあの偉そうで面倒臭そうな態度も頷け・・・いや、頷けないな。

親とか出張るくらいなら呼ばれる前に絶対怒られてるし。


「さっさと入れ。誰の手を煩わせてると思ってる?」

「私の手?」


とついでに多分俺様君の手も煩わされてるんだろうね。


「・・・・・・頼むから入ってくれ」

「やだ〜」

「話が進まないんだよ、お前がいないと」

「やだ〜」

「・・・話が進まないと、橋川、お前帰れないぞ」


何ですと?

それは嫌だね。入ろう。そして話が進んだら帰ろう。

癒しが欲しい。現時点で精神的に疲れたのだ、私は。家に帰ったら弟に癒してもらおう。


「俺様くん横暴だと思う」

「俺様くんって何だよ、ネーミングセンスないのかお前。俺の名前くらい知ってるだろ、知らないフリ失礼な言動で気でも引こうとしてるのか?」


うわ、超苛つく。自信過剰っつか、ナルシストじゃん。苛々する〜。癒し成分欲しい〜。


「失っ礼します」


一瞬言葉がつっかえた。

理由は室内の美形率の高さ。普段そこまで気にしないけど、ここまで集まってくると存在感がやばい。


「真幡 廉太郎。天才プログラマーとして巷で話題になってる。知ってるだろ?」

「あ〜、う〜ん・・・多少は?」

「・・・まあいい。その右隣が三谷 鷹介。三谷家当主の時期補佐として期待されてる。今はここの在校生だが今年で卒業だからな。媚を売るなら早めをお勧めするぞ」

「その隣は?」

「・・・・・・速水 真琴。研究者として日本国内で最も優秀だとか言われてるが、真相はどうだかな」


・・・うん、私今スルースキル納めてる自分に超感謝した。

この人すっごい目上の人間に対して失礼だなぁ、自分の身の程わかってないのかなぁ?可哀想な人。

って思って心底馬鹿にする程度で態度に出してないもん、私すごい、私えらい。我が弟よ、心の中に存在する癒し要員よ、存分に褒め称えよ。

あ、想像の中の弟にそっぽ向かれた。お姉ちゃん悲しい。


「最後に俺の兄でもある一ノ瀬 和樹。知っての通り一ノ瀬家の長男だ」


うん、それは知ってる。父さんが子会社の社長だから覚えてる。

でもその人と社長さんしかちゃんと覚えてない。

俺様くん一ノ瀬家の人だったのか、苗字が同じなだけかと。


「で、何の用なの?」

「橋川 友莉さん、君にある嫌疑がかかってるんだよ、ね」


速水さん?が発言した。この人には俺様くんと違って嫌味っぽさがない。あんまり。

あんまりだから、ちょっとはあるんだよ、残念なことに。本当に残念。苛々が解消されずに溜まってく。


「君が、父親の汚職に手を貸しているんじゃないかという疑惑が、ね」

「・・・・・・あれ、私ちゃんと日本語聞いてるのかな・・・?」

「紛れもなく日本語だよ。例えどれ程理解したくなくても、ね」

「言ってる意味わかんないし毎回語尾についてくる「ね」ウザいし真面目に気持ち悪」


今まで培って来たスルースキルが無残に敗れ去った瞬間であった。

凍りついた室内で、勇者一ノ瀬 和樹が立ち上がる。

や、別に立ち上がってないしただ話しただけなんだけどね。


「論点をずらすのは良くないな。君が汚職に手を貸しているという証明になってしまうかもしれないよ?」


・・・残念だ、残念過ぎる、この人。

犯人追い詰めた探偵みたいな勝利の笑顔浮かべてるけど・・・


「そもそも嫌疑がかかってるって時点で密室に呼び出して数人がかりで尋問じみたことやってて、それを黙認してる時点で犯罪者はそっちじゃない?恐喝は当然として、かかってる嫌疑が本当のことでなかった場合最初から決めつけるような言動は名誉毀損だし、嫌がる人間を無理矢理ここに入れてるんだから、私がそれを証明できたら拉致じゃん。気づいてないみたいだから言うけど、現時点で嫌疑がかかってるだけの私よりも証拠の揃ってる貴方達の方が危ないですよ?」


真面目に気づいてなかったらしい。全員ハッとした表情になった。

今まで天才とか持ち上げられてる人もいながら誰一人としてそこに思い至らなかったことに驚いたよ。

自分が正義であるってことに慢心して自分たちの中で悪役って決めつけてる私には何しても許されると思ったのかな?・・・許されるわけないでしょ、馬鹿なの阿呆なの死にたいの?


「っだから論点をすり替えるなと」

「いやいや、忠告ですって。まあそっちがいいならこの話はこれで終わりってことでいいですけど。それで、父さんの汚職に私が手を貸してる、ですっけ?一つ訊きたいんですけど、父さんが汚職に手を染めてるって情報は確定ですか?それともこれもまだ嫌疑の段階ですか?」

「・・・嫌疑だけど、ほぼ確定してるよ。君の嫌疑も」


ふうん、ほぼ確定ねぇ・・・・・・


「証拠は?」

「そうやって証拠を求めるのが何よりの証拠じゃない?」

「何故?やってないのにいきなり嫌疑がほぼ確定だとか言われてるんだから、その根拠を求めるのは何もおかしいことじゃないと思いますけど」


あ〜も〜苛々する〜ストレス溜まる〜帰りたい〜!

心の中で大声で不満を叫びながら表面上だけ淡々と言葉を紡いだ。

一応冷静に見せておかないとまた何か言われそうなんだもん。本当のことを言い当てられたから動揺してるとか何とか。


「やってない?こっちは証拠だって揃えかけてるし、あと一つ決め手があれば確実なんだけど」

「だから、その証拠を聞いてるじゃないですか、答えてくださいよ」

「消されるかもしれないのに答えるバカがどこにいると?」


心底馬鹿にした顔で天才プログラマーとやらに鼻息荒く言い切られて、心底呆れて溜息を吐いた。

ついでに故意的に思いっきり悪態も吐いた。


「消せるならそもそも残さないよ馬鹿なの阿呆なの考える脳味噌ないの。そもそもやってないこと証明する為に求めてるだけなのに既に決めつけてかかってるとかマジで頭足りないわぁ、ちょっとカサ増ししてもらえばぁ?今のまんまじゃ言葉通じないし」


まあ、ちょっとのカサ増しで言葉が通じるようになるかは甚だ疑問ですけどもね?

・・・あ〜、まあそんな感じで、凄い勢いでストレスが溜まった結果、偶々偶然、本当に自分でも驚くくらいに幸運が重なって汚職の証拠と私がそれに手を貸してた証拠全部覆すのに成功して、私に詰め寄ってきてた男達は全員社会的に死ぬ間際の危ない窮地に立たされているのが現状。


ん?何でそんなお粗末なことを有能で有名な人たちがやらかしたのかって?

何かね、みんな私の見た目に惚れて、私を手に入れる為に乗っかったらしいよ。見た目だけは最上級だしね、私。ナルシストじゃないよ・・・多分。

で、あの人たちの企みとしては、私を言い訳もできないような立場に追い込んで、助けてやるから自分のものになれって感じに持ち込むつもりだったらしい。超お粗末。

恋は人を馬鹿にするね。そもそも複数人居たんだから誰か一人のものになるとか無理なんだけど。私何個かに裂かれるとか分裂とか無理だよ、嫌だよ、できないよ。


あ、私が言い負かした時のは・・・精神的疲労がやばいのでもう思い出さない。

こうなった経緯がわかればそれでいいんだ。あそこまで細かく思い出す必要なんてなかったんだ。

ま、まあ、ですね?

そんなこんなで窮地に立たされた人たちは、形振り構わず私を手に入れる為に奔走することになりました。

例えばいきなり放課後に拉致してデートに連れ出したり(助けてもらいました)、昼休みに人気のない場所に連れ込んで愛をささや、こうとしたり(助けてもらったので未遂)、あ、これ以上は苛々溜まるからやめとこう、そうしよう。


んで、最終手段として、って言うか、何を勘違いしてか自分は私に好かれたって思い込んだ(って教えてもらった)人たちは、自分を選んでくれると思って、私に許してもらえれば自分は助かると思って、みんな揃って婚姻を申し込んできた訳ですよ。


幾ら前よりは勢いも落ちてるとは言えやっぱり今日本屈指だとかいう大げさな肩書きが消えた訳じゃないから、我が家から断るのってめちゃくちゃむずいんだよね。ってか、普通無理。


「どうしようね、父さん?」

「どうしようねぇ・・・」


胃のあたりを押さえながら父さんが私に同調した。胃薬どこにあったかな?


「・・・ちなみにこの中で好きな人がいるとかは」

「ないね。ありえないね」

「だよな〜・・・」


あんな人達に恋愛感情とかカケラほどでも抱ける訳ないない。

そもそも私には最愛の恋人がいるのだ。

今までほとんどピンチになる前に助け続けてくれてる私だけのヒーロー様が。

さっき言った犯罪未遂から助けてもらったっていうのも彼のことですよ、凄いでしょ。ヒーローは遅れてやってくる?さっさと来なさいピンチになんて陥らせてるんじゃないよ意気地なし。

私のヒーローはピンチを事前に察知して助けてくれるんだよ・・・だいたいは。

あの時に限っては何故か間に合わなかったけど。何か妨害でもされてたのかな?


・・・それでもきっと、私の幸運が重なったのって、きっとあの人が何かやったんだろうなとは思ってる。


「よし、最終兵器を出そうか」

「最終兵器?」

「うん、クラスメイトだよ。ちょっと今から呼ぶね」


そう言い残して父さんの部屋を一旦出た。

思い立ったら即行動、で電話をかけながら迎えに行く。


「もしもし正樹〜。緊急事態発生したから今から君ん家にお迎えに上がるね〜」

『何があったのかは・・・まあ後で聞くよ。出かける用意するね』

「うんうん、素直なのは良いことだよ。あ、目的地私の家で、父さんに会ってもらうことになるけど、最終兵器兼恋人として紹介されるのと最終兵器兼クラスメイトとして紹介されるのどっちが良い?」

『恋人としての方で』

「了解。じゃ一旦切るね」

『うん。後で最終兵器についてもちょっと聞かせてね?』


あ、最後の最後に爆弾投げ込まれた。

つい口をついて出たけど、これ絶対言っちゃ駄目なやつだった。

・・・時すでに遅し、どうにもならないしどうにかしたい訳でもないので諦めるべし。


正樹の家についた時、既に彼は準備万端で玄関先で待ち構えてた。


「おはよう正樹」

「おはよう友莉」


お互いに軽く挨拶を済ませてから、二人で並んで歩き始めた。


「それで、緊急事態って何?ある程度の予想はつくけど。友梨に絡んでた男達が実家の権力やら何やらで婚姻を迫って来たってところでしょ?」

「うん、常に思ってるけど何でわかるの?」

「だってあいつら明らかに友梨に惚れてるし単純馬鹿だから、行動の予測つけやすいもん」


まあ、今回に限っては確かに単純馬鹿に成り下がってるよね、全員。

俺様くんはもともとそこまで天才とか言われるほど頭いい訳でもなかったみたいだけど。


「それに、今回は邪魔されて最初に助けるのは無理だったけど、俺が友梨が危ないのに気づかずに何の対策もせずに指を咥えて見てる訳ないでしょ」

「わぁ白昼堂々人前でデレた」

「友梨、茶化しても顔真っ赤だよ」


知ってるよ、ちょっとでも羞恥心誤魔化す為だよ。

そのまま素直に受け取ったらきっと羞恥で考えまとまらなくなるから。


そんなこんなで途中途中でいちゃつきながら家に帰った。


「ただいま〜」

「おかえりなさ・・・あら、あらあらまあまあぁ・・・お友達?それとも彼氏?」

「彼氏」

「初めまして、友梨さんとお付き合いをさせて頂いております、藤井 正樹です」


ぺこりと頭を下げた正樹。

母さんからの印象は最高に近いみたいだ。


「やっぱり友梨は見た目より中身で選んだわねぇ」


ってのは母の談。正樹に見た目が伴ってないような言い方はやめましょう。

確かにあんまり目立たないし普通に思えるけど、カッコいいんだよ、目立たないけど。

ちょっと吊り目気味だけど目の形綺麗だし、輪郭はシュッてしてるし、それぞれのパーツも整ってるし、目立たないだけでカッコいいんだよ、多分惚れた欲目もあるだろうけど。


あ〜でもそっか。確かに見た目より中身かも。

正樹の見た目を気にし出したのって、好きになってからだし。


「友梨、どうしたの?」


じ〜っと正樹の顔を見つめてると、正樹には不思議そうな顔で、母さんには微笑ましげな顔で見られた。


「ん〜?カッコいいな〜って思って。挨拶終わったなら父さんのとこ行こうよ。私が馬鹿の嫁になっちゃうかどうかの瀬戸際なんだし」

「頑張れ〜」


母よ、実の娘に送るにしては薄情な応援じゃないかね?

しかもその娘には家族に紹介しちゃうくらい本気の恋人もいるんだよ?母さんの性格的にそんな感じだろうことは予想ついてたけどね。

どうせ最後には何とかなるとか思ってるんでしょ?実際何とかなるもんね、母さんの力技で。怖い怖い、その血をしっかり引き継いじゃった私も最後には力技が多かったりする。

正樹と付き合えるようになったのも最後は力押しだったし。

後々黒歴史になるかもしれないけど少なくとも現時点であの馬鹿たちに絡まれた時のこと思い出すより精神的ダメージない思い出を反芻してると、二階にある父さんの部屋に存外早くたどり着いた。


「父さん、最終兵器兼恋人連れて来たよ」

「恋人ぉ!!??」


私も正樹も父さんのリアクションに笑いをこらえるのに必死になった。

超面白い・・・・・・っ無理これどう頑張っても笑っちゃうやつだ。

潔く諦めて笑った。爆笑した。


何がどうしてそうなったかわからないけど正樹はその後即座に父さんを籠絡し、婚姻決定を覆し、そのあとはうちの家族全員籠絡し、いつの間にか元求婚者たちは軒並み表舞台から姿を消し(私がそれについて質問したら素晴らしく黒い笑みで「訊かない方が身の為だよ」って言われた。怖かった。何で父さんあれと意気投合できたんだろ)、そしていつの間にか外堀埋められ十八歳になった今日正樹と結婚することになってました。


「何でこうなったん?結婚早くない?」

「いない訳じゃないからいいでしょ。俺も友梨も成人済みだし」

「まあそれはそうだけど」

「ていうかもう式も終わって夜なんだからいい加減諦めようよ」

「それもそうなんだけど」


そういうものかな?

疑問を言葉にしたら、そういうものだと返された。

すごく自信満々だったから、とりあえず納得することにした。別に早いなぁって思ってるのが抜けないだけで、正樹と結婚するのは嫌じゃないしむしろ大歓迎だし。


「ところで友梨」

「何?」

「去年の誕生日は最悪だったって言ってたよね?」

「言ったね」

「今年はどうだった?」


笑顔でそう訊かれて、呆気にとられた。

まさかその為だけに結婚こんなに早くした訳?

本当に・・・全く正樹ってばやることが高校生の域超えてる・・・


「勿論最高だったよ?」

「そう。それは良かった」

「でも」

「?」

「今年で終わりじゃないんだから来年も再来年も誕生日は最高更新してね?」

「・・・・・・うん。最高を更新するのは毎日にする予定だけど」

「それはちょっと心臓がもたないからお断りたいな」

「じゃあ誕生日は毎日分の最高上乗せしてプレゼントしようかな」

「それもちょっと・・・」

「我儘だね・・・とりあえず、今日の分の最高、更新しようか」

「え、ちょっと待っ」

「待つ訳ないでしょ、友梨がもう嫌だって言うくらい甘やかしてあげる」


・・・思う存分最高更新されました。

私じゃなくて正樹の思う存分で・・・甘やかされすぎて溶けるかと思った。


ま、とりあえず私も超幸せで最高な日々を送らせてもらってるので文句はないよ。

私を堕落させるのが目的みたいに超甘やかしてくるのは恥ずかしいし依存しそうだし堕落しそうだし真面目に勘弁して欲しいけどね。

これでも学生だから手加減してるらしい。同学年のはずの旦那様が底知れなくてそれにときめくという底なし沼にハマって出られそうになく出るつもりは全くない今日この頃です。


「正樹、愛してる」

「うん、俺も愛してるよ」


知ってるよ。

これからもいっぱいいっぱい愛してね、私だけの旦那様。

私も君だけの奥さんでいるからね。嫌がったところで絶対に。

読んでくれた方、ありがとうございます。

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