表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欠陥奴隷の英雄偽譚 ~レベル上限のある世界をスキル強奪チートで這い上がる~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/85

第43話 欠陥奴隷は過去を乗り越える

「どうしてお前があの魔女と仲良くやっているのか知らねぇが、調子に乗りすぎなんだよ。ふざけた態度を取りやがって!」


 再び胸倉を掴まれて、壁に叩き付けられた。

 弾みで砂埃が舞い上がる。

 軽く咳き込む俺は、舌打ちしたい気分で観察を続けた。


 目の前の冒険者は得意げに述べる。


「お前なんて簡単に殺せるんだぜ? 見逃してやっている俺らの優しさに感謝しろよ」


「……黙れ」


 俺は冒険者の顔に唾を吐いた。

 その途端、余裕ぶっていた男達の雰囲気が豹変する。

 三人揃って重い殺気を発し始めて、一人が短剣を突き付けてきた。


 刃先が俺の頬を撫でる。

 皮膚が薄く切られて、ひりついた痛みが走った。


「――おい。本当にふざけんなよ。誰に口を利いてやがる」


「もう殺っちまおうぜ。こいつは駄目だ」


「そうだな」


 三人の中で意見が一致した。

 俺の命を奪うことにしたらしい。

 冗談を言っている雰囲気ではない。

 こいつらは本当に実行するつもりだろう。


(まあ、そうなるように誘導したわけだが……)


 掴まれたままの俺は冷静に考える。

 これだけ連続して挑発したのだ。

 三人が激昂するのも当然であった。

 無抵抗のままでは、気の済むまで殴られた末に殺されるのだろう。


 しかし、こいつらの態度は許せなかった。

 何もしていない俺に因縁をつけてきたのだ。

 そして大勢の前で馬鹿にしてきた。

 挙句に逆上して命まで奪おうとしている。


 少し前ならそのような横暴を働いても問題なかった。

 被害者である俺が無力で反撃が来ないと分かっていたからだ。

 何もできない最弱の欠陥奴隷が相手なら、どれだけ侮辱しようと関係ない。

 強さで絶対的に勝っている以上、何も脅かされることがないのである。


 だが、その認識は既に過去のものとなっていた。

 俺の【死体漁り+】は進化し、以前とは比べ物にならないほど強くなっている。

 こいつらは人並みに強いようだが、俺はその何十倍の速度で力を増しているのだ。


 もう我慢できない。

 弱者として蔑まれる日々とはここで決別する。

 今こそ成長を見せつけてやる時だ。


「ひひっ、まずは痛め付けてやるぜぇ!」


 俺を掴む男が短剣を戻し、拳を振り上げた。

 ぎらついた笑顔で殴りかかってくる。


 俺はその軌道を目で追う。

 予め有効化していた【見切り】のおかげで、ゆっくりとした速度に感じられた。

 頬を殴ろうとしているのがよく分かる。


 俺は首を傾けて迫る拳を躱した。

 拳が壁に叩き付けられるのを横目に、隠し持っていたナイフを握り、男の首に潜り込ませる。


「……あぇ?」


 男が間の抜けた声を洩らした。

 口端から血を垂らして、首に刺さるナイフを凝視する。

 他の二人も呆然としていた。


 俺はナイフの柄を掻き混ぜるように動かす。

 男の首の肉を抉りながら、憎悪を笑みに変えていった。


「くたばりやがれ、クソ野郎」


 罵倒と共にナイフに力を込める。

 無造作にずれた刃が、男の首を引き裂いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おお! 久々の「ざまぁ」、ありがとうございます! 更に嬉しい事に、今度のざまぁタイムはまだ序の口! [一言] 続きも楽しみにしています!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ