第32話 欠陥奴隷は強敵に備える
引き続きサリアの先導で夜の森を進んでいく。
その間、俺はスキルの複合を進めていくことにした。
かなりスキルが増えてきたので、ここらで整理しようと思ったのである。
効果も基本的に強化されるので損はない。
森で生き抜くことを考えると、必要な行為だった。
>スキル【警戒】【気配察知】【熱探知】【魔力感知】を複合
>スキル【混合探知網】を取得
まずは複数の感知系スキルを合わせてみた。
特に心配していなかったが、上位互換のような能力になってくれた。
魔物という存在は、様々な手段で姿を隠蔽してくる。
思わぬ所から不意打ちを仕掛けてくることも珍しくなかった。
実際、ホブゴブリンの奇襲で俺も致命傷を受けている。
そういったことを回避できるのは魅力的だ。
負担は少なそうなので、常時発動しておくことにする。
これで間抜けな死に方をする確率は減っただろう。
>スキル【一撃必殺】【一刀両断】【急所狙い】を複合
>スキル【乾坤一擲】を取得
レベル6である俺に足りないのは攻撃力だ。
それを克服するためのスキルを生み出してみた。
体力や魔力を消費する系統だが、ここぞという瞬間に使えば効果は抜群に違いない。
とても満足のいく結果となった。
>スキル【戦略】【戦術】【悪知恵】を複合
>スキル【軍師の閃き】を取得
戦闘経験の浅い俺は、判断力に自信がない。
専門知識がないのが難点だが、これで少しは改善されるのではないか。
本来は軍隊規模の指揮に使うスキルらしいが、個人の戦闘でも役立ちそうである。
正直、俺みたいな人間には勿体ないと思う。
>スキル【剛腕】【格闘】【蹴撃】【身体強化】【暴力】を複合
>スキル【破壊者の手腕】を取得
仕上げとして、身体能力を上昇させるスキルを作った。
戦闘ではほぼ必須だろう。
組み合わせることで効果が大幅に上がっており、近接戦闘の技能にも補正がかかるそうだ。
腐る場面は皆無と思われる。
とりあえずはこれくらいでいいだろう。
あまりスキルの複合に没頭していると、余計な失敗をしそうな気がする。
いくらサリアがいるとは言え、ここは魔物の蔓延る森の中だ。
別に作業に集中するのはこれくらいにしよう。
出来上がったスキルをざっと確認していると、サリアが俺の頭を撫でてきた。
「いい具合ね。かなり便利なスキルになったんじゃない?」
「見ていたのか」
「もちろんよ。とても珍しい現象だもの」
微笑むサリアがふと足を止めて前方を見た。
彼女は静かに息を吐くと、俺の頭から手を離す。
「そろそろ到着みたいね」
「あれがそうなのか……」
俺はサリアの視線を負う。
そこには、真っ赤な実を蓄えた樹木がそびえ立っていた。




