第31話 欠陥奴隷は戦力強化を図る
その後も俺は様々な魔物と遭遇した。
まず草むらから現れたのは蚊の群体だ。
単体ならそれほどの脅威ではないが、群れとなった際は危険である。
一斉に獲物へと襲いかかり、毒を注入しながら血を吸って殺害するのだ。
数の多さも相まって油断してはいけない魔物だろう。
対する俺が取った策は、松明による焼殺であった。
蚊をひたすら焼いて始末するのだ。
かなり手間取ったものの、数百の群れを殺すにはこれしかなかった。
何度も毒を打ち込まれて血を吸われたが、幸いにも【高速再生】のおかげで生き延びた。
このスキルがなかったら、とっくに死んでいたに違いない。
ちなみにサリアは、周りの草木に燃え移った分をさりげなく消化してくれた。
さらに魔術の炎で超小型の竜巻を作ると、そこに蚊を吸い込んで一掃していた。
周りへの被害は皆無で、見事な手際だったと言う他ない。
俺も【火炎魔術適性】を所有しているので、練習次第ではできるようになるのだろう。
だからサリアは手本を見せてくれたのだと思う。
確かに魔術が使えると、戦いの幅が大きく広がる。
個人的に使えるようになりたかった。
読み書きもそうだが、やはり勉強は避けられないようだ。
>スキル【吸血】を取得
>スキル【毒耐性】を取得
次に遭遇したのは食肉植物の魔物だった。
一見するとただの無害な花だが、地面から生やした蔦で攻撃してくるのだ。
俺は【鋭牙】と【鋭爪】を使用し、獣のような牙と爪を駆使して蔦を破壊していった。
さらに【拘束糸】で蔦を固定して掴むと、【剛腕】と【身体強化】によって、本体部分である球根を引きずり出すことに成功した。
あとは球根を踏み潰すだけで倒すことができた。
>スキル【溶解液】を取得
>スキル【光合成】を取得
>スキル【消化吸収】を取得
>スキル【植物操作】を取得
手強い分だけ報酬も魅力的だ。
かなり特徴的なスキルばかりで、活用できるように訓練すべきである。
様々なスキルが得られるのは嬉しいが、学ぶことが多くて大変だった。
「ほら、休憩は終わり。先に進みましょ?」
「もう少し待ってくれ。疲れているんだ……」
「駄目よ。これも訓練なんだから」
座り込んでいた俺はサリアに促されて立ち上がる。
疲労は着実に溜まっている。
ただ、彼女の意見も間違っていない。
同じ場所に居座り続けると、別の魔物が現れる恐れがある。
ため息を押し殺した俺は、陽気なサリアの背中に続くのであった。




