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欠陥奴隷の英雄偽譚 ~レベル上限のある世界をスキル強奪チートで這い上がる~  作者: 結城 からく


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第20話 欠陥奴隷は冒険者登録を行う

 ほどなくして俺達は冒険者ギルドに到着した。

 外観は木造の三階建てで、周囲に比べてもかなり大きな建物である。


 入口は常に冒険者らしき人々が出入りしていた。

 そしてサリアを見てぎょっとした顔になり、慌てて立ち去っていく。

 先ほどからその繰り返しだった。


 嫌な予感がした俺は、ギルドに入る前にサリアに忠告する。


「他の冒険者と問題を起こすのは不味い。室内で戦うのは絶対に禁止だ」


「分かっているわ。私も英雄を志しているのよ? それくらい簡単なんだから」


 サリアは頬を膨らませて反論する。

 本気で怒っているわけではないが、俺の忠告を真に受けているのか怪しいところだった。


(本当に大丈夫なのか?)


 途端に不安になるも、ここまで来て引き下がるわけにもいかない。

 サリアも張り切っているのだ。

 ここで水を差せるほど俺は命知らずではなかった。


 精々、今みたいに注意するのが限界だろう。

 機嫌を損ねて実験台にされるのは避けたい。

 それならギルドで問題を起こす方が遥かにマシである。


 俺は意を決してギルドの中へと入った。

 室内は大きく分けて二つの区画が設けられていた。

 右手にあるのは受付や依頼の掲示板だ。

 揃いの制服を着た職員が冒険者達に対応している。

 待ち合わせ用なのか、石造りの椅子と机も並べられていた。


 左手には酒場があった。

 顔を赤くした冒険者達がごった返して盛り上がっている。

 室内が微妙に酒臭いのは彼らが原因らしい。

 依頼を終えた冒険者達の溜まり場になっているようだ。


 入口から室内を見回していると、職員のエルフが歩み寄ってきた。


「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか」


「冒険者登録に来た。二人分を頼む」


「かしこまりました。ではこちらで、説明、を……」


 笑顔で応対していた職員が凍り付く。

 言うまでもなく、その視線はサリアに固定されていた。

 同行する彼女の存在に気付いて、恐怖しているようだった。


 当のサリアは和やかに手を振って挨拶する。


「こんにちは。あなた、肌が綺麗ね。何か秘訣はあるのかしら?」


「ひ、ひいっ」


 職員が悲鳴を上げて飛び退いた。

 顔が真っ青で、脚が震えて腰を抜かしそうだ。


 悲鳴を聞いた周囲の冒険者達が、怪訝そうにこちらを見やる。

 いきなり注目されるのは面倒だ。

 余計な諍いの火種になりかねない。


 それを察した俺は職員に早口で要求する。


「騒ぎを起こすつもりはない。別室に移動できないか?」


「せ、責任者に相談しますので、少々お待ちください……」


 踵を返した職員は、逃げるように受付の奥へと去ってしまった。

 何やら同僚達に報告しているようだ。

 内容は聞こえないものの、動転しているのがよく分かる。


 俺はサリアを顔を見合わせる。

 なんとも気まずい空気だが待つしかないだろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第20話到達、おめでとうございます! [気になる点] エルフの受付係には気の毒ですが、サリアを見た時の「ひ、ひいっ」という叫びとリアクションに思わず笑ってしまいました。 [一言] 続きも楽…
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