今までとこれからと1
悪夢の後、また僕は眠りに落ちていた。
次に目を覚ました時には正午を回っていた。
相変わらず曇天のままだ。
「いってぇ…。」
重い頭を上げ起き上がる。
さすがに昨日は飲みすぎた。
高野はちゃんと帰れたのか…。
水を飲もうとキッチンへ向かう。
その場は気晴らしになったが、酒のせいか酷い悪夢を見た。
せっかくの休日だが、このままベッドの中で過ごすことにしよう。
ふと周りを部屋を見渡す。
普通の1DKだ。
自分で言うのもなんだが、殺風景な部屋だ。
必要最低限の家具しかない。
自炊の為に調理器具だけは充実している。
実際、食事を摂って風呂に入って寝るだけだ。
「小学校の頃はぬいぐるみにパステルカラーの多い部屋だったな…。」
それに比べ今は色がない。
無いわけじゃないのだが、無難な白や黒、ブラウンばかりだ。
重い体を引きずるようにまたベッドへ戻る。
『人って変われるもんなんだなぁ…。』
高野の言葉を思い出す。
「僕でも変われるのかな…。ははっ…、無理だったじゃないか…。男らしくなろうとしたのに…。」
何故か涙が流れる。
大きなため息ひとつ。
スマートフォンを取り上げると僕は『性同一性障害』や『女性ホルモン』の効果を調べていた。