幼少期の記憶2
子供がないている。
あぁ、あれは僕だ。
子供の時の僕だ。
父親に大事なぬいぐるみを捨てられた時の。
「男でぬいぐるみなんてお前くらいだぞ!いつまでぬいぐるみとおままごとしてるつもりだ!!」
「ちゃんとするから…!」
涙ながらに子供の僕は訴える。
「あんなもんもう捨てたわ!いつまでなよなよしてるつもりだ!」
僕が何を言おうと火に油を注ぐだけだ。
12歳の頃だろうか…?
学校や外では周りに合わせて『普通の男の子』であろうとした。
自室の中ぐらい自由にしたかったが、それもその日で終わってしまった。
もう思い出したくない。
忘れたいのに昔のことを思い出してしまう。
余計なことさえ考えてしまう。
僕が女の子だったならこんなにも苦しまずに済んだのではないだろうか?
何も不自由無く生きられたのではないのか?
自分らしく、自由に…。
「晶くん、絶対女装似合うって!」
「お前のそういうところ、女子っぽいよなー。」
止めてくれ…。
「晶が女子なら彼女にしたいわ。」
「絶対スカート似合うって!」
もう止めて…。
「いつまで女みたいなことやってるんだ!!」
止めろよ!!!
悪夢から覚めた僕の頬を涙が伝っていた。
苦しみの先に見えた空は灰色に濁り、薄白く明るみが広がっていた。