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自己嫌悪と解放と
あれからひと月が経った。
僕は予約しておいたホテルをキャンセルし、すぐさま東京行きの新幹線に乗っていた。
あれから連絡を取っていない。
涼子から来る訳もなく、僕からすることもなかった。
振られた直後は呆然としていたけれど、今となっては楽だと思ってしまっている事に自己嫌悪している。
彼女の事を案じるより自分の事ばかり考えている。もしかしたら、ずっと前からだったのかもしれない。
『私とキスした事さえないやん…。』
そうだ。
僕から彼女に対して異性として好意を向けたことがあっただろうか？
確かに涼子は大切な人だった。
流れに任せて付き合い始めたが、そのまま関係を続け結婚なんて彼女の為にもならないんじゃないか？
そもそも、僕は友人以上として涼子と向き合ったことがあっただろうか？
同じことばかり頭の中で堂々巡りで何も分からない。
自己弁護と自己嫌悪。
ただ、1つ確かに感じたのは『開放感』『自由』。
それが涼子からのものなのかほかの何かなのか気づくのはまだ先だった。
