ノノとキュラ
月日は流れ、あっという間にノノがアストに行く日の朝になった。
家の中でノノとフォトンが出発の最後の確認をしていた。
「忘れ物はないなノノ」
「はい、大丈夫です」
「アイトについたらすぐに連絡入れろよ」
「はい」
「アカデミーにいったら私が渡した紙をジュラに渡せよ」
「分かりました」
「最後に、元気に過ごせ」
「はい!!いってきます」
元気よく返事をするとノノは家から出て行った。
ノノが出て行った後、フォトンはしばらくどこかさびしさを感じその場から動くことができなかった。
■ ■ ■
ノノとフォトンは普段は森から出ずにすごしていたため森の外の景色を見るのはノノにとって約8年ぶりとなる。
ノノが今から向かう国、アイトは森から西に真っ直ぐ進んだところにあり、フォトンから聞いた話によると半日も歩けばつくと聞いていた。
実際昼を少し過ぎたころにはノノは無事にアイトに入国することができた。
「ここがアイトか…凄いほんとに人がたくさんいる…」
今までに見たこと無いくらい大勢の人を目の前にノノは思わず呟いた。
目の前にいる人だけで以前住んでいた村の人口より多いのではないか思うほどだった。
行きかう人々のと様々な建物の向こうには大きな城が建っていた。
しばらく人の多さに呆然しながら歩いていると人とぶつかりノノは我に返った。
「あ、すみません」
ノノは謝るがぶつかったひとはすでに人ごみにまぎれていなくなっていた。
「そうだ、アカデミーに向かわないと」
少し不思議だと思いながらもノノは目的を思い出してアカデミーに向かった。
しばらくして、何人かに道を尋ねながらも何とか目的のアカデミーにたどりつくことができた。
アカデミーは道中見たどの建物より大きく先ほど見えた城と同じ位ではないかと思うほどだった。
建物に入るとすでに大勢の入学希望者がいくつかある扉に列を作り並んでいた。それを見てノノも周りと同じように列の最後尾に並び順番を待った。
「君も入学希望者?」
ノノが並んでいると、後からきた女がニコニコしながら話しかけてきた。
黒い髪を背中まで伸ばし他の人より軽装を着ていた。
「そうですよ」
「やっぱり、じゃぁ僕もここに並ぼうっと」
ニコニコしながら後ろに並びノノと同じく順番を待った。
「ねぇ、君名前は?」
「ノノです」
「ノノか、よろしくね、ノノ。僕はハーム・キュラリル、気軽にキュラってよんでね。あと敬語も使わなくて良いよ」
「よろしくお願いします、キュラさん」
「むー、敬語じゃなくて良いのに」
頬を少し膨らませながらキュラはノノに言った。
それからしばらくノノとキュラは順番がくるまで話し暇をつぶしあった。
「それではキュラさん、順番が来たので」
「あはは、結局ノノは最後まで敬語だったね」
「すいません、癖なので」
「いいよいいよ、でも今度会ったらまた話そうねー」
お互い別れを告げ、ノノは扉に向かった。




