エピローグ
燃えている。
今まで住んでいた家が、村が燃えている。
「何をしているの早く逃げて、ノノ」
全てが燃えている光景に唖然としているノノに幼馴染のユアが叫んだ。
「逃げるって…どこに…」
「いいから、早く逃げて、どこでもいいから、あいつに見つからない場所へ、はやく」
「でもユアを置いて逃げるなんて、できない」
「私のことはいいから、早くじゃないと…あいつが…」
そこまで言うとユアは何かに気づき振り向いた。
ユアが振り向くとそこには背の高い男が立っていた。
片手に豪華な装飾された剣を持ち、輝かしい鎧を身にまとい、その姿は勇者と言えるだろう。
だが、今の二人にはその姿が何も恐ろしく見えた。
ユアは男を見るや否やすぐに距離をとり、意を決した顔してノノに手の平を向けた。
「強く生きてね…ノノ」
「ちょ、ユアっ」
ノノは知っているこの後の結末を、この後ノノはユアに遠い街に飛ばされる、そしてユアが死ぬことを、村がなくなることを、この日、ノノは全てを失うことを。
ノノは知っている。
「バーシュ!」
淡い光がノノの体を包み、瞬時に周りの景色が変わった。
多くの人とにぎやかな声が聞こえる。
そこでノノは目を覚ます。




