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90.

満露国境で戦車戦が中国側の敗北で決着がつきそうな頃、沖縄とフィリピンの中間点付近の公海上で、怪しげな船が2艘、船腹が平行になるようにして、引っ付いて停まっていた。

「合言葉を」

マシンガンで武装した屈強な男が二人、スーツ姿で向こうの船へ言葉をかける。

「花も曇りになりぬれば」

「恋も心も曇ってく」

「合格だ」

銃口を空へと向けて、相手を自らの船へと通す。

「親分、来ました」

マシンガンとは別の男が、親分と呼ばれたダークスーツのひげを生やした男へと耳打ちをした。

「ようこそいらっしゃいました」

すぐに、両手を広げ、武器をもっていないことを確認させて、相手を向い合せになったソファに座らせる。

「本日はようこそいらっしゃいました。香港マフィアの重鎮であられる走柳会会長、陳左老(ちんさろう)氏をお迎えすることができ、感激の極みでございます」

「そのあたりでいいだろう。歯が浮くような美辞麗句は」

陳はそう言って、出迎えた人物をなだめる。

「では、今回のご用件、伺いましょうか」

まだ、内容は知らされていないらしい。

「日本皇国最大の極道組織、河菱組組長である河菱圭太(かわびしけいた)様へ、中国政府へ付くようにと、申込を行うべしと。政府の方から命が下りまして」

その言葉を聞いて、眉一つ動かさない。

「政府と申しますと、中華人民共和国政府で、違いありませんか」

「ええ、その通りです」

そこまで来て、初めて河菱はゆっくりとした動きで腕を組んだ。

「それはいけませんなあ」

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