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83.
日本皇国総軍司令部は、今は東京にある。
そして、総軍総司令官の傴田浄陸軍元帥は、悩んでいた。
「満露国境線戦は、いよいよ地上戦が始まろうとしているのか」
「そのようです」
参謀総長が報告する。
「露欧国境線戦では、敵による大規模な爆撃の影響で、15万弱の将兵が一瞬で死亡したものとみられます。列車砲を含む数百門の戦車、砲台が使用不能。付近にある航空部隊の発射基地も被害を受けており、使用再開するのに数日かかるそうです」
「宇宙から行かせるか…」
「宇宙軍については、航宙空母「畿内」を出撃させることは可能です。ただし、欧州連盟の航宙空母「ロメ」からの攻撃を受け、戦力はダウンしています」
「どれほどだ」
参謀総長の代わりに話しだしたのは、宇宙軍司令官だ。
「10パーセント弱といったところです。ただし、北米条約連合から、一機ほど航宙空母を回してくれることを約束しておりますので、問題はないです」
「名前を」
傴田元帥が確認しようとする。
「北米条約連合航宙空母大陸型「ワシントン」です」