82.
中国側は、すでに用意を整えていた。
「奴らが動くと、欧州側から連絡がありました」
中国の戦車急襲部隊隊長の李来伝陸軍中佐に、副長が伝えた。
「了解した。どういう動きを見せている」
「3つの部隊に分かれているようですね。中央と、両翼からこちらへ来ているようです。どうしますか」
「空はどんな調子なんだ」
「快調です」
「なら、そのままにしよう。対空砲もあるわけだ。若干2門としても、十分だ」
李中佐が副長に言う。
「欧州軍も、後方に控えているわけですからね。こちらは、満露国境の油田地帯を抑えることになってますから、そのことに専念しましょう」
「そうだな」
中国側の戦略はこうだ。
欧州空軍と宇宙軍を使い、日本皇国軍及びロシア軍を上空から叩く。
同時に、陸からも進行をはじめ、日本皇国軍第21師団を崩壊させる。
この第21師団は、満露国境そばにある大規模な油田地帯を、ロシア側に立って守っている部隊だ。
そのため、この師団をたたかなければ、油田を安定して確保することができない。
中国はこの油田を基盤として、ロシアの極東地方を平定し、日本へ対して圧力をかけるつもりだ。
インドがいるため、中東からの油田もとどこっており、アジア連邦からの原油供給は続いており、北米からの協力があって、余裕が出ている。
これら一か所でも、供給が途絶えたら、日本の原油供給力は格段に下がると、中国は踏んだ。