82/117
81.
日本皇国第21師団戦車部隊部隊長は、師団長の澤井からの命令を受けて、発進準備を整えていた。
「どうだ」
整備兵に様子を聞いた。
「大丈夫ですよ。バシバシ撃てます」
「よし、ありがとう」
部隊長である磯田清貴戦車中佐は、整備兵の方を強く背中から叩いてから、戦車に乗り込んだ。
「隊長、もう入ったんですか」
機器を確認すると、上から声が聞こえてくる。
「おうさ、それが俺だからな」
高田丸杜戦車大尉が磯田中佐に声をかける。
「少しばかり気が早いのでは」
「そういうお前だって、もう来てるじゃないか」
「実戦ですからね。今回は、戦車を使っての誘導戦になりますが」
「まあな。今回の作戦概要、頭に叩き込んだだろうな」
「もちろんです。3班に分かれての誘導作戦。敵を地雷原に追い込んで、宇宙軍と空軍が協力して銃撃。対空砲は第4班とロシア側がどうにかするっていうことですよね」
「さすがだな」
そういうと、磯田中佐は戦車の暖機運転を始めた。
「さあ、全速力で戦場を駆け抜けるぞ。用意は」
副操縦席に滑り込むようにして、高田大尉が車内に入る。
「いつでもいいですよ、隊長」