79.
ロシア側との会議が日本皇国内で行われ、即座に反撃することが決議された。
「敵からの攻撃に対しては、われわれは断固として措置をとる」
大使からのその要求は、そのまま相互の政府からの公式発表として報じられた。
爆心地においては、上空から日本皇国宇宙軍が監視を行っていた。
「どうだ」
「ひどいですね。報告通りにすり鉢状に崩れております」
「ここからの観測通りか…」
「ええ」
空域外へ脱出していた近江大臣宇宙軍迎撃少佐が、再び同じ場所に派遣されて、詳細な図を描くように指示されていた。
「列車砲が下半分ぐらいが埋まっていて、前面から土砂に突っ込んでいるような感じですね。周囲の建物もことごとく破壊されています。道路も何もかも、手の着けようがないほどに破壊されつくしています」
「この周囲の戦域は、陸からの進攻が不可能だな…分かった。引き上げてくれ」
「了解しました」
上官からの指示によって、近江少佐は航宙空母へ撤収した。
東京では、閣議が行われ、今後の戦略が決定された。
「北米が協力してくれているおかげで、我々は、大陸だけに目を向けていればいい。これは最も大きな利点であろう」
首相が報告書を見ながら言った。
「しかしながら、あの爆撃はどのようにして行われたかというのが、現在不明です。北米は軍事機密扱いとして、こちらへ開示することを拒んでおります」
「ある意味当然だろう。有意な手札をもつことによって、有利に事を進めようとしているだけのことだ」
軍務総省大臣の話を、そう言って流す首相。
「では、次の議題へ。露欧国境における大規模爆撃に対抗する件について。意見は」
真っ先に首相の発言に対応したのは宇宙軍省大臣だ。
「衛星爆弾を実施するべきです」
「…どう思う、軍務大臣」
「それは最終手段ですが、敵がこのような攻撃を行ってきたことを考えても、行っても問題はないと思います」
「…そうか。では、その方向に」
首相がまとめる。
「戦略としては、ロシアと北米、アフリカと協調して欧州をじわじわと追い詰める。中国はロシアと我々が協力して行う必要があるだろうな。戦術は、大西洋から海軍、アフリカ、ロシアからは陸軍が攻撃を。空は主としてロシアと大西洋からの攻撃となるだろう。中国は空軍による戦略的空爆によって、生産地点を急襲。麻痺させた上で陸から進軍という形になるだろう。その後、敵国間の同盟で最後の国であるインドに対して攻撃を行うことになる。すでに海上封鎖は行っているが、陸路による交通は封鎖しきれていない。その通路を空爆するか空挺部隊を投入するか、そのあたりは軍務総省で決定してくれ。以上だ」
今回の閣議は、以上でお開きとなった。