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7.

第8章 尖閣諸島の争い(1)


皇国海軍、ロシア海軍の合同軍隊が、尖閣諸島へ近づくと、そこにはすでに中国海軍がいた。

「現在、皇紀2698年11月2日午前8時56分。現場海域に到着」

第6地区担当(沖縄以南担当)の艦隊が、ロシア極東地域担当の艦隊と合流していた。

中国海軍から、連絡が入った。

「本海域は、中国領内である。現時刻より5分以内に反転しない場合は、攻撃を加える」

「無視しろ。尖閣諸島までは?」

皇国海軍旗艦船長兼第6地区担当長官である、金内碧(かねうちあおい)が指示した。

皇国海軍各地区担当長官で唯一の女性である彼女は、敵味方から、第2の東郷といわれるほどの人だった。

返事をしたのは、彼女の中学からの旧友であり、彼女の本心を測り知ることができる唯一の人である天栄春雄だった。

彼は、この船のレーダーなどの索敵系統の総責任者だった。

「残り30kmほどですが、本船との中間点付近に中国戦艦がありますね。空母が1隻、護衛艦5隻、駆逐艦2隻。それに、潜水艦が4隻ほどですね」

「原潜か?」

「1隻はそうです。しかし、残りの3隻は、通常電源のようです。かなり音が激しいのですぐにわかりました」

金内は、腕組みをしてうなづいた。

「そうか…原潜は場所が把握できるのか?」

「はい、ドップラーレーダーで現在位置捕捉中です。いつでもどこにあるかを言い当てれますよ」

「それは心強い。もしものときにはよろしく頼む」

「わかってますよ長官」

そして会話は途切れた。

次に入ってきたのは、騒がしい音声とともに出てきた、極東ロシアだった。

「ロシア極東地域担当官、どうですか、そちらのご様子は」

「かなりいいですね。なにせ、世界最高の技術力を有する日本皇国内にて整備された船ですからね。何もかも順調ですよ」

ひげを生やした、顔の濃い大男が、向こう側で高笑いをしていた。

「ははは。そのようなことはないですよ。こちらも、いろいろとロシアさんにはお世話になっていますから、その恩返しをしたかった、それだけの話ですよ」

金内が笑って答えた。

戦いの前の、その静けさ。

張り詰めた緊張の糸が、一瞬解けた。


中国側から連絡が入ったのは、そんな時だった。

「警告は既に行った。これが最後通告だ。今すぐ本海域より出なければ、攻撃を仕掛ける」

「本領域は、日本皇国の領土である。こちら側も、そちら側の即刻退去を申し出る」

「…わかった」

中国側の中将の制服を着た人が、視界から消えたと思ったら、すぐに弱い振動が来た。

「どうした?」

「原潜より、魚雷攻撃です。全弾爆破完了。ウブスナガミに接続も完了しています」

「では、攻撃許可を出す。ウブスナガミによって指示を与える」

金内は天栄に指示を与えた。

「了解」

これが、ウブスナガミが実戦投入された初めてのことだった。


中国側は、ジャミングを連続してかけようとしたが、瞬時に突破された。

戦闘指揮室でその様子を見ていた旗艦の艦長は、部下に怒鳴った。

「どういうことだ。この暗号強度は、史上最強で何物にも破れないはずではなかったのか!」

「相手は、ウブスナガミを投入しているようです。量子コンピューターの手にかかれば、素数暗号などすぐに解けるのでしょう。連続してかけてはいますが、まったく効果が…」

艦長は、机をこぶしでたたき、再び怒鳴った。

「では、ウブスナガミを破壊するんだ!どこにある」

「それは…この周辺ではないことだけは確かですが…」

再び、机を何度もたたく艦長。

「探せ、探せ!探せ!!何としても見つけろ!」

「は、はい!了解しました!」

部下は、脂汗とも冷や汗ともわからない妙な汗を流しながら、目の前の画面を見ていた。


数分の静寂ののち、日本側が動き出した。

「長官、ウブスナガミが、シュミレーション結果を返してきました」

「どうだった?」

「行動をすでに船のインプット済み。ロシア側にも通達しました」

天栄はすぐに返事をした。

金内は、うなづいて、伝えた。

「全艦連絡。本時点をもって、本艦隊は中国側と正式に戦闘を開始する。皇紀2698年11月2日午前9時09分、発令者皇国海軍旗艦船長兼第6地区担当長官、金内碧。同様の文章を、本国にも送付」

「…終了しました」

金内は、その場に立ち上がると、天栄に続けて指示した。

「よし、では、全艦、ウブスナガミの作戦通り行動せよ!」

こうして、尖閣諸島をめぐる戦闘が始まった。

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