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76.

日本皇国政府は、北米条約連合が宣戦布告すると同時に、大使を通じて大統領と首相が会談を行った。

テレビ会談となったこれは、これからの戦争の行方を左右するものとなった。


皇国政府首相が、初めに大統領に挨拶をした。

「今回は、我々についていただき、誠にありがとうございます。おかげで、今次の戦争は優位に動く事ができると思います」

「礼には及ばないです。では、さっそく本題に入りましょうか」

「ええ、日米連合条約について、でしたね」

第2次大戦後に結ばれた正式名称『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約』、通称日米安保条約は、当時アメリカが債務超過に陥り、破たんすると同時に日本側からの通告により、その効力を失った。

この時点で、日本国はすでに憲法を改正し日本皇国となり、独自の軍を有するようになっていたため、影響は少なかった。

一方で、周辺の国は、アメリカが日本から撤退したことによる、一時的な軍事的空白が生じ、それが否応なしに、不安定要因となることは目に見えていた。

となれば、自らを守るために軍備増強へ動く事はやむを得ないこととなる。

それを防いだのが、当時結ばれた、通称3カ国条約と呼ばれるものである。

これは、第2次朝鮮戦争の戦後条約として結ばれることとなる条約であり、内容としては、中国と日本が中心となりこの周辺の軍事的影響力を維持すること、朝鮮半島においては、北緯38度線を境に北を中国が、南を日本が間接統治し、朝鮮半島全体では旧北朝鮮の最高司令官を国王と遇することにより朝鮮王国とした。

この条約により、極東は一時的な平和を享受することができるようになった。

しかしながら、日露と中国との戦争が発生すると、連鎖反応的に戦争が発生し、この条約は事実上失効した。

それに代わる新しい条約として、再び日米が手を組むことにより、極東の安全保障を強固なものとするというのが、今回の日米連合条約の内容である。

ここにロシアを加えるということで、一応ロシア大統領に打診をしてみたが、断られている。


「日米連合条約によれば、双方の軍需設備に関して、防衛秘密以外の全てを開示し、使用を認めるということになりますね」

「ええ、そういうことです。我々も防衛秘密については触れませんが、その他の物は、全て日本皇国軍並びにその同盟軍が使用できるということになっています」

「では、我々がNORADの施設を自由に使えるということですね」

「そう言うことになります」

「そして、我々は、あなた方に欲しいものを引き渡す義務を負う。そう、例えば衛星爆弾のような」

衛星爆弾という単語を聞くと、大統領の眉がわずかに上がった。

「そうかもしれませんが、それは防衛秘密にしておけば防げることでしょう」

「それもそうですが、すでにスパイを幾人も入れているでしょう」

「…さすが。気付いておりましたか」

「ええ、情報は戦術の基礎中の基礎。それは戦略をも変えてしまうこともままあることですから」

それから、首相はニヤッと笑った。

だが、そこに軍服を着た伝令が駆けこんできた。

「急ぎにて失礼します。露欧戦線にて、大規模な爆撃があったもよう。死傷者多数」

それを聞いた途端に、大統領と首相は速やかに会議を終わらした。

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