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6.

第7章 同盟国対協定国


1週間後、あっけなく休戦協定は締結された。

誰も朝鮮半島のことなど考えてはなかった。

それよりも重要だったのは、尖閣諸島の問題と露中間にまたがる巨大な油田だった。


「さて…」

日本皇国閣議、さらには、御前会議にて決定したことを、再び閣議に諮っていた。

「すでに尖閣諸島奪還を決定したというに、なぜそれほど悩むのですか」

「あの付近には、ガス田や石油が眠っている。日本としてもほしい。だが、緒戦王国から奪取した時のような簡単にはいかないことは…」

「全員分かっていることです」

軍務総省大臣が言った。

「わが軍部は、そのための訓練を絶えず行ってまいりました。中国との対話ルートは断絶しており、武力衝突がいつ発生しても不思議ではありません」

「…では、頼んだぞ」

首相は、大臣に告げた。

「もしも、本戦に負けた場合…わかっているな」

「はい、承知の上です」

そして、閣議の部屋から大臣は颯爽と歩き去っていた。


1ヶ月後、中国は尖閣諸島領有を宣言。

すぐさま艦隊を引き連れ一帯の油田、ガス田の建設をし始めた。

それを見ていた日本政府は、最後通牒を布告。

3日以内に立ち退かない場合は、こちら側もEEZを守るために艦隊を派遣するというものだった。

中国は、さらには、南沙諸島の領有も同時に宣言。

同日、尖閣諸島、南沙諸島両地域に入った、無許可船は、問答無用で撃沈する旨の通達を全世界に伝えた。


日本は、その通達を聞き、日亜露会合を開いた。

「本日は、どうもありがとうございました。さっそくですが、会合を始めさせていただきます」

日本代表として、星井出外務大臣がいた。

ロシア代表は、スバロフスク・ミハイル外務大臣。

アジア連邦|(AF)代表は、グエン・ホア・ニヤット外務大臣が、三角形の机に座っていた。

「南沙諸島の領有を、中国が宣言し、印度、欧州もそれを認めた…」

グエンが、ぼそっと言った。

「現時点では、我が国は、ロシアとの領土問題も決着がついていません。このままいくと、その方面でも戦争が起こる可能性もありますな」

「それよりも先に、南沙諸島、尖閣諸島領有は、断固として認めないことを、ここに政府の公式宣言とさせていただく」

ミハイル大臣が、会議の場で宣言した。

少し前に閣議で決まったことだったため、すんなりと話は通った。

「では…2日以内に尖閣・南沙両諸島に対し、奪還作戦を実施する。それでよろしいですね。南沙に関してはAFと日本皇国軍、尖閣に対しては日本皇国軍とロシア軍が作戦に当たる」

星井出が、その場にいた人たちに聞いた。

「それで、本国は了解済みです」

ミハイル大臣が言った。

「こちらも、同様です。明後日、作戦開始ですでに閣議了解をとっています」

グエン大臣が、伝えた。

星井出はうなづいて、書類をまとめた。


「では、またいずれ。お会いできる時まで」

星井出が、一礼してからその部屋を出た。

残された二人は少ししてから、部屋を出た。


一方、欧印中は、その報告を受けてから一気に艦隊を強化させ始めた。

「いずれ、世界大戦が起きても不思議ではない。アメリカも石油権益のために10年ぶりに息を吹き返した。われらもこのあたりで行動の時なのかもしれない」

中国代表が言った。

「我々は、中国に対して艦隊を送ることも辞さないが、しかし、到着したときにはすでに戦いは終わっているだろう」

欧州代表が言った。

「インドとしては、そちらの協力を惜しまない。これからだったら艦隊も間に合うだろうから、すでにシンガポール沖まで曳航中だ」

「素晴らしい協力、感謝します。中日戦争、中亜戦争。これらには勝たなければ、我らの真の平和は訪れません。今こそ、我らが協力し合い、世界を制する時なのです」

中国は、目を冷たく輝かせながら言った。

ほかの二人は、その眼を見て、少したじろいだ。

「…では、本日の会談はこれぐらいに…あ、そういえば、ウブスナガミに関しては何かわかりました?」

「いえ…まだ分かっていないんです…」

「そうですか、では。失礼をば」

中国は、それだけ言うと、そのまま去った。

他の二人は、その本気の中国の目を見て、震えていた。


翌々日、協定国の日亜露が同盟国の中印欧に対して、宣戦布告を行った。

ただ、直接的な攻撃を行う場所は、尖閣諸島、南沙諸島のみとなっていた。

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