58.
第54章 日本皇国閣議
「…そうか、露欧国境線からそんな報告が」
「ええ、いかがいたしますか」
閣議室の中で、報告を受けた首相が報告をした外務大臣に聞いた。
「宇宙軍は、どれだけそちらに回せるのだ」
「ぎりぎり2個小隊程度ですね。空母を直接動かすことができれば、さらに1個小隊。合計で最大1個中隊は派遣可能になります」
「相手は、あの欧州だが、それだけで大丈夫なんだろうな」
「その点については、ロシア空軍と協力体制を敷いております。挟撃すれば撃破することも可能でしょう」
「…では、決を取ろう」
首相がその場にいた全員に聞いたが、反対意見は誰もいなかった。
「なら、この案の通りに。どの航宙空母をどれだけ移動させ、どの小隊を派遣するのかなど、この件の細かい事柄については、軍務総省大臣に一任する。それでいいかな」
誰もがうなづいて、首相の発言に同意した。
「では、次の議題を私から言わせてもらおう」
首相は、そう言って閣議のメンバーに資料を配った。
「何なんでしょうか、これは」
「現在行っている極秘プロジェクトの一部だ。全員、資料に目を通してもらいたい」
閣議のメンバー全員に資料が行き渡ったのを確認すると、首相は内容を話し出した。
「皇国は、協力国と共に、ここまで戦ってきた。だが、いつまでも戦うということを考えていてはならない。第2次大戦時、大日本帝国とアメリカ合衆国は刃を交えた。この際、アメリカはすでに終戦後のことを考えていたという。当時は、そのことを考えるような余裕はほとんどなかった。互いに大義を掲げ、そのために戦ったのだ。今もそれと同じ状況だ。ただ、我々には当時なかったアジア連邦という盟邦がいる。当時の第三帝国やイタリアは今は敵同士になった。そして、最大の仲間としてロシアがいる。彼らとともに、我々は戦っていく。そして、勝利をつかむ。勝利をつかんだ後は、その地をどうにかして統治する必要がある。いわゆる占領統治ということだ。そのためにこのプロジェクトはある」
「現在の案は、この資料に載っているやつなんですよね」
内務省大臣が聞く。
「ああ、現状考えているのは、1つ目が間接統治、2つ目が直接統治、そして3つ目が軍政だ。1つ目は大東亜戦争後、アメリカが行ったGHQのような行政組織を作り、そこから指揮をする統治形態だ。2つ目は統治する領域を皇国の領土とし、我々が直接的に統治をおこなう形態。3つ目は、軍により統治をおこなう形態だ。なお、1つ目と2つ目は、現時点では文民により統治をおこなうことを前提としている」
「それを、今から考えてるのですが」
「おそらく、敵の方々も我々と同じようなことを考えているだろう。さて、これらの統治形態については、それぞれも考えておいてもらいたい。次の閣議において、そのことを話し合いたい。本日は以上だ」
首相の司会で、閣議は終わった。