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56.

第52章 露欧国境戦線日本皇国観戦武官


「どうしましたか」

ロシア側の司令官であるミハイル・グンジャエフ陸軍大将が、すぐ横で双眼鏡を覗き込んでいる下井田徳多(しもいだとくた)駐露武官に聞いた。

「いえ、ただ、あのような強力な武器が、我々も欲しいと思いましてね」

双眼鏡の先には、牽引されている砲があった。

「1分20発、射程距離が実測で310km、想定では400kmという。まるで短距離ミサイルですよ」

「あの砲が作れたのは、日本皇国の優秀な技術者の皆様の御蔭ですよ」

笑い声は、轟音にかき消される。

その砲を1発撃つだけで、周囲500mに轟音が響き渡った。

その轟音は、3km以上離れた彼らが居るところにも十分届く音である。

「ところで、相手のご様子はどのような感じなのでしょうか」

下井田がグンジャエフに尋ねる。

「ああ、欧州共和国は今までと同じですよ。空軍、陸軍が一体となりロシアと戦闘中です。もっとも、宇宙からの指示があることも事実のようです」

「欧州宇宙軍ですね。彼らの対応はどうするのですか」

「…実は、貴殿に任せたいと考えています。ロシアは宇宙軍を有しているとはいえ、日本皇国と比べれば弱い。それに、日本皇国には航宙空母もあるではないですか。あれらを活用すべきでは」

「その件は、上層部に報告します。どうなるかは分かりませんが」

「ありがとうございます」

グンジャエフが礼を述べる。

そこに、伝令が知らせてきた。

「欧州軍が動き出しました。海から攻めてくるようです」

「なるほど…三面作戦でしょうね」

「海陸空から同時に攻めてくるということですか」

「ええ。おっと、これらは観戦武官が口をはさむようなことではないですね。失礼いたしました」

下井田はほほ笑みかけながら言った。

「いえ、どのようなことでも歓迎しますよ」

「その前に、上層部へ先ほどの宇宙軍の件を報告させてもらいますよ。言っておきますが、あまり期待しないでください。どうなるかは分からないので」

「大丈夫ですよ」

グンジャエフ大将は、そう言いながらもニンマリとしていた。

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