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52.

第48章 月面県における戦争


月面県では、本土である日本皇国からの指示を待っていた。

しかし、待つ一方で、宇宙軍の設備の緊急点検、陸海空軍による防衛力の強化、民兵を組織することによる兵力増強を図っていた。

もちろん、知事も先頭に立ち、さまざまなことをしていた。

そのことの一つに、他国の月面基地の状況把握があった。


「どうだ」

知事が宇宙軍の駐留部隊の隊長に聞く。

「朝鮮半島の一戦以来、月面基地とそれぞれの本国との間でのデータ通信料が非常に増大しています。比で言いますと、戦争をはじまる前と比べ、約50倍になるかと」

「その内容は?」

「解読ができた範囲では、現状を確認し、指示を請いでいるようです」

「なるほどな、相手側は自分で動く権限がないのか…」

「どうしますか」

陸軍の隊長が聞く。

「見張りを続けておいてくれ。何かあれば、すぐに連絡を」

「了解しました」

一礼し、軍の隊長は全員出て行った。

「どうしますか、戒厳令は布告していませんが…」

「遠からず将来、出すことになるだろう。でも、今は時期じゃない」

秘書に聞かれて、知事は言った。

「そうでしょうか」

「…議会には諮るつもりだ。行政戒厳の宣告には議会の承認が必要だからな。それから、内務大臣へ報告をしてから、宣告という流れだっただろう」

「議会が承認すると同時に宣告もできます」

秘書が持っていた電子手帳を見ながら言った。

その手帳は、皇国で有効な全法令、判例や現在の予算などが載っていた。

「…軍の力がどうしても必要になりますね」

「ああ、だから、彼らとすり合わせが必要になるんだ。その時間を先に取りたい」

「なら、先ほど言えば…」

「分が悪い。いろいろ資料を集めてからじゃないと」

「どのような資料を」

秘書が手帳のメモ機能に書いて行く。

「まずは、戒厳令の規定、軍令や軍政の規定も一通り知りたいな。施設の使用についてと、報告についても」

「分かりました。いつまでにそろえておけばよろしいですか」

秘書がメモをしながら、知事に確認をした。

「他に必要だと思ったら、適時加えてくれ。できれば次の会合だから…」

知事が持っているメモ帳を見ながら、秘書に指示を出した。

「明日の午前10時までに」

「分かりました。明日の10時までに揃えておきます」

秘書が言って、部屋から出た。

残された知事は、ぼんやりと空を眺めながら言った。

「戦争か、この時代に起きるとは思わなかったな……」

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