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第37章 満露国境地域
独立を果たしていたが、一方で中国軍によってすでに占領状態にあった満洲国は、再三日本皇国に対して軍の派遣を申請していたが、当時はこの周辺の軍事バランスを崩すわけにもいかないという理由によって拒否されていた。
中国に手をひくように繰り返し言っていたが、もちろんそういうのを聞く相手ではない。
しかし、いまやそう言っている場合ではない。
ロシア極東地域の油田地帯に駐屯している日本皇国軍は、宣戦布告がある前より攻めてくるならば中国だろうと踏み、戦車部隊の増強を図っていた。
先に師団に指定されていたのだが、その際の部隊をすべて解体したうえで再編成をし直した。
本土からも新たなる戦車を投入してもらい、現在満露国境に駐屯している第21師団は、戦車大隊が2つ新設され、それぞれの大隊の番号も改められた。
空軍からの支援も増えることになり、それぞれの支援中隊として改組されることになっている。
大幅に増軍され、さらに、ロシアからの陸軍の支援も受けられる状況となっているため、さほど心配をしている風ではなかった。
しかし、平原地帯にポツンとあるようなものであり、海からも遠いため、周囲から隔絶された環境といえるだろう。
その中では、補給を満足に受けられるかどうかがわからない。
「補給部隊は?」
満露国境駐屯軍総司令官であり第21師団師団長でもある陸軍中将澤井義一は、幕僚会議を開き、宣戦布告後の戦闘計画に沿って行うことを確認したのちに、その他の留意点を質問していっていた。
「第1~3大隊が派遣されました。必要と思われる、弾薬、燃料、糧食その他のものは、十二分に用意されています。何かあれば、樺太を経由してこちらへ輸送を行ってくれる手はずになっています」
「情報収集は?」
「宇宙軍がこちらへ来て、上空より敵方を監視する手はずになっています。何かあればすぐに情報が入ることになります」
「ロシア側の状況は?」
ロシア側は、この駐屯軍に連絡官を置いていた。
「当国は、日本皇国に全部を委任しています。補給に関しては手伝うことができるでしょうし、それについてはすでに鉄道網による物資輸送についての話し合い、車両運搬の協力協定、武器弾薬に関して必要なものであれば無償で供給するという話は決着しています」
「わかりました。では、計画通り、敵方が侵攻を開始した時点で、こちらも戦闘を開始するということにします。日本皇国軍は、第1種戦闘態勢へ、ロシア軍は第2種戦闘態勢でそれぞれ待機。別命あり次第、行動を開始と、全軍に通達」
澤井は、そう言って幕僚会議を締めた。