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37.

第33章 内乱


首相官邸は、大阪、東京、福岡、沖縄、札幌、仙台からの至急電を受け取ると速やかに戒厳令を布告した。

「日本皇国領内にある主要都市の一部で内乱が発生し、敵によるかく乱作戦とみられる。皇国陸海空軍は速やかに鎮圧に向かうべし。宇宙軍は、各担当地域へ航宙空母を移動し、不穏な動きに警戒せよ」

緊急安全保障会合により、以上のことが全軍に通達された。

総理大臣、衆参国防委員会委員長、軍務大臣、財務大臣、国土交通大臣を主要メンバーとする安全保障会合は、日本皇国に対して何らかの武力行使またはそれに類する行動が行われた時に、緊急会合によって臨時の措置を取ることができることが法律によって決められていた。

これまで法律だけあっただけだったが、初めて実施され、さらに軍に全部門を任せるという意味合いの戒厳令も同時に布告をした。


「軍と公安、警察、消防などが全力で押さえていますが、大阪府庁、東京都庁、大阪市庁、札幌市庁及び福岡県庁が占拠されたという情報が入っています。同時に、朝鮮王国北部に続々と兵が入り、南部を圧迫、中露国境も戦闘が発生しているという情報もあります」

安保会合には、宇宙軍からの情報が続々と入ってきていた。

「どう思う」

「中国が我々に対して戦争を仕掛けてきたと見るべきでしょう。交換船は1時間前に出港しましたし、こちらには他の敵国方の人はおりません」

「中国のバックにいるのは欧州およびインドです。彼らもこちらを虎視眈々と狙っておりました」

「狙う敵はまず中国だな…」

首相は会合の長として決断を迫られていたが、それに残された時間はほとんどない。

すでに急迫不正の事実が迫っている時点で、残された道も一つしかなかった。

「中国から宣戦布告は?」

「いまだに来ておりませんが、欧印中は日本皇国、ロシアなど我が国の見方側のすべての国に対し国交途絶を宣告しました。本国に対してはすでに全てのつながりが切れておりますが、残りの国々はあと丸1日弱残されていると報告されています。」

壁の時計や腕時計を確認しながら、軍務大臣は報告する。

「国会決議さえあれば、国内世論は納得してくれるでしょう。議決しなかったとしても、行わなければならない方向へ世論はすでに動いています。首相、どうかご決断を」

総理大臣は、腕組みをして悩んだ。

コンマ以下の秒数が過ぎ、突然立ち上がったかと思うと、唐突に言った。

「御前会議の必要がある。宮内庁長官を呼んでくれ」


御前会議は、大日本帝国憲法下で行われていた天皇陛下御臨席の会議のことであり、今では、憲法改正、国家の基本となるような重要法、いわゆる準憲法といわれる法律の改正[例えば国籍法や公職選挙法など]、さらには宣戦布告や終戦の決議などが御前会議を行うこととして法律として定められていた。

この会議は日本国憲法改正以後、憲法の条文の一つとしても記載されることになっており、閣議に置いて必要と認められる場合は、緊急の御前会議を経て国会の議決の代用とすることができるとも書かれていた。

もっとも、その場合は、次の国会にて一番初めに再議決をしなければ効力を失うともされていた。


御前会議自体は1時間かからずに終わった。

即座に国会へ議案が回され、衆参両本会議にてスピード可決。

すぐさま"宣戦布告の詔"として宮内庁と内閣が内容を折衝し御前会議が始まってから3時間以内に中国に対して宣戦布告をするに至った。

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