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36.

第32章 開戦


欧州連盟で開かれた秘密会が終了してから38分後、交換船が欧州連盟と日本皇国から同時に出発した。

これらの船は、完全に中立であると認められた北米大陸を通して互いに安全な状態でそれぞれの領土へと入ることになっていた。


「期限か」

暗闇で懐中時計をチラッとだけ見たのは、朝鮮王国から派遣されていた工作員だ。

「我々がこのような大役を担ってもかまわないのでしょうか」

下っ端らしい青年が、リーダー格のさっきの工作員に聞いた。

「我々がこのような大役を担ったということは、それほど期待されているということだ。この重責がどうであろうと、祖国のため、この日本という国から同胞を解放するために戦わなければならないのだ」

「はぁ…」

それでも腑に落ちないような青年を見て、散弾銃や手りゅう弾を装備したリーダーが再び聞いた。

「祖国に家族はいるのか?」

「え…ええ。母親と妹、それに甥っ子がいます」

「家族はいいもんだ」

リーダーは胸から小さく折りたたまれた写真を取り出す。

「俺には息子2人と娘がいる。愛する妻もだ。俺は愛する家族が幸せになれると信じて、この銃を握っている。これからもまったく同じようにして生きるだろう」

「家族のため、ですか」

「そうだ」

再び懐中時計を確認する。

「後30分ほどで行動を開始する。それまでに総員準備を整えよ」

「了解!」

10人ほどのチームが入った穴倉のような暗闇にわずかにこだました。

「そして、こいつらも家族だ。お前も含めてな」

右人差し指で青年を指さす。

「自分もですか」

「そうだ。俺らが仮に死んだとしても、そのあと生きていく人々は幸せであってほしい。その幸せを思うからこそ、ここで俺らが戦わなきゃならないんだ」

そういうと、散弾銃を床に置き、左側に置いてあったショットガンを確認する。

「ああ、だからこそ、俺らが戦うんだ」

呪文のように、何度も繰り返していた。


リーダーが懐中時計をもう一度確認すると、いよいよ出陣だ。

「いいか、ここは『大阪』。なかなか道がカオスだが気にすることはない。大阪府庁を俺らは襲撃し、占拠する。後は、できるだけ時間を稼ぐんだ。沖縄、対馬および九州が落ちれば、半分以上こちらが勝ったも同然。いくぞ!」

「オーッ!」

リーダーが鼓舞し、仲間を連れて飛び出した。

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