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25.

第26章 月面県


月面県にも欧州連合から国交断絶をすることは伝わっていた。

「知事、国交断絶する旨が伝わってきました。東京から至急電です」

「そうか……」

2代目月面県知事としていたのは、篠伊藍(ささいあい)だった。

武器商人として活躍をしている篠伊は、氷ノ山の高校時点での同級生で、大学では経済学を専攻した。

そのころから、商売人の才能が芽生えだし、世界最大の会社を作ろうという夢を抱くようになってきた。

その結果、武器を主販売にしている会社では、最高の売上高を誇る会社へと成長を遂げていた。

「月面に対しては、武器をほとんど出していないんだが…」

計画書を見ながら、知事の仕事として各行政機関との調整を図る。

戦時体制へ移行する前準備として、知事は24時間以内に戦時対策室を立ち上げ、以後の戒厳司令部のひな型とする義務があった。

「ここの戒厳司令部には、財務・防衛[陸/空/宇宙の各参謀および宇宙軍司令官]・司法長官・月面県知事・議会代表2名で構成されることになっていたな」

お茶を入れていた秘書に、篠伊は確認をとる。

「その通りです。ただし、戦時対策室は軍主導ではないため、月面県知事・司法長官・議会代表2名・宇宙軍参謀が入ることになっています。月面県には宇宙軍にしか司令官がいないため、陸空宇宙各参謀および宇宙軍司令官となっているのですよ」

「その辺りは、よく覚えてる」

篠伊の秘書をしているのは、大学の同輩だった川崎常次(かわさきつねつぐ)で、さりげなく『秘書検定』1級を取っている人でもあった。

他にも取れる資格は片っ端から取るが信条で、彼の友人からは資格マニアとも言われているほどだった。

「とりあえず、その人たちに招集をかける必要があるな。議会代表は、議長と副議長でよかったのかな」

「ええ、それで結構です。通知は即座に送れるメールで出すのがよろしいでしょう」

「辞令はさすがに手書きが一番だろうけど」

辞令用紙は形式ばっているため、書く事もたやすいうえに、知事の署名だけで事足りるように既にプリントされていることも多かった。

「メールの件は頼めるよね」

「ええ、お任せください」

そういうと、知事室を後にした。

篠伊は、戦時対策室用の資料を整え、会議室へと歩む。


会議室には誰一人としてまだ来ていなかった。

「来るまでにどれぐらいかかるかな」

「遅く見積もっても30分ほどでしょう、今回の場合は、我々の命令が最優先されることになります。他の仕事があったとしても、寝ていたとしても拒否することはできないことになってるのです」

柱にある時計に目をやると、ぴったり8時を示していた。

「今日は今上天皇陛下生誕日につき、国の祝日扱いになってるんです。それでも、建物は狭いですから」

そう言っている間にも、会議室へ県議会議長がやってきた。


15分ほどで全員がそろうと、戦時対策室時の議長である月面県知事が全員に資料配布をしてから言った。

「これから、月面戦争に関して会議を行います。なお、本会議は24時間後に自動的に日本皇国月面県戒厳司令部へ全権を委譲することになります」

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