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20.

第21章 他国の追随


月面基地の建設を開始した日本皇国は、そのことを大々的に宣伝した。

人工衛星によって、そのことを監視している欧州連盟が、そのことについて真っ先に記者会見を開いた。


「我々は来年度までに、月面基地を建設し、現在の状況を我らが利益になるように行います」

あちこちの国から、報道部が呼ばれ、盛大に記者会見は行われていた。

各国の主要記者達からは、一人一つの質問が許可されていたため、通常記者会見は開かないような大ホールに記者達は集められていた。

それでも間に合わず、大ホールからはみ出ているほどだった。

「月面基地の所有権は、改正宇宙条約に基づいて、開発した国が有することになります。ただし、その範囲は、通常の海洋条約に属するものと、我々は考えます」

ここで、報道官が一杯だけ、近くに置いてあったコップから水を飲んだ。

「つまり、基地から200カイリ、370.4キロメートルの範囲が、他国の主権が及ばない排他的経済水域とします。我々は、その範囲内の全ての物資を我々の者であることをここに宣言します。以上です。質問がある方は、手をあげてください。私があてましたら、私と対面するように置かれているマイクのところへ来て、出身国、所属、氏名を申し出た上で質問を述べてください」

山のように手が上がる。

「では、その青い服を着た……」

指さされた先に青い服の人は指名された女性一人しかいなかった。

「日本皇国、国営放送の伊井閖(いいゆり)です。すでにご存じかと思いますが、日本皇国はすでに月面基地を設置しており、運営も開始しております。自国の領土としての権利も有しておりますが、日本皇国の月面基地に対してどのようなことをお考えなのでしょうか。戦争状態になった時点で、月面基地に対して侵攻することは考えておられますか」

「お答えします。宇宙条約の規定を守りますので、実際に攻め入ることは考えておりません。領土として画定されている場所に関しては、地球上と同様にお考えになられて結構です。国際法上は、月面基地より200カイリが自国の排他的経済水域になり、12カイリが領海となることで了解しております。領空に関しましては上空100kmまでとし、領土に関しましては通常通り基地全面を領土と考えて、その他の領域の設定をいたします」

「ありがとうございました」

それだけ聞いて、そのまま席へと戻る。

入れ違いになるように別の人を指名し、マイクの前へと歩いていく。

「北米条約連合、スキャウメ放送局のエモバ・コトヨリです。北米条約連合としましては、近来、政府より発表されています通り、欧州連盟が使用している基地の共同使用に関して幾度となく申し入れしております。欧州連盟側の基地と北米条約連合とのを併設して設けるという計画もあるらしいですが、その点についてどのようになっているのでしょうか」

「お答えします。北米条約連合との折衝は、今なお続いております。現状況では、欧州連盟側の月面基地と北米条約連合側の月面基地を併設し、内部構造において基地自体を接続することに対して異論は出ていません。最終的には、現在建設を計画している周辺に、北米条約連合側の月面基地が建設され、トンネルなどで接続されるものと考えております」

さらさらと、準備されていたかのように言う。

「ありがとうございます」

「他に質問は……」

さまざまな国からいろいろな質問が出たが、内容は、どれも似たようなものだった。

これからの発展性についてという一点に要約できるだろう。

「それにつきましては、月面開発に関する国際会議を開き、そこで考慮することにします。その国際会議は、現時点で月に対して衛星を飛ばした国または現に月面基地を有している国に対してのみ、正式に参加を要望する予定です。それ以外の独立国からの代表者も受け付けますが、オブサーバーとしてのみ参加していただくということになります

会見は、こうして終わった。


その後、この会見がきっかけとなり、3極の代表国それぞれが、仲良しの国同士で緊急の会議を開いた。

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