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11.

第12章 宇宙開発


第2次日中戦争が終結したことにより、当面の危機が回避された。

その結果、次々と行われる宇宙開発競争に、少し行き過ぎと言う批判もありながらも、大衆の視線が注目されていた。

その中でも、日亜露の協定国、中印欧の同盟国、米加の条約連合国の3つの組織が、それぞれ宇宙開発を進めるということになった。


中国を筆頭とする同盟国は、まず、宇宙ステーションの拡充を図った。

皇紀2700年3月3日。

有人飛行船を基礎として、建設を開始。

大きさは、サッカー場16個分に匹敵する大きさだという宣伝だった。


協定国側も負けてはいない。

新たに空母を保有する国に再び仲間入りした日本を筆頭とし、宇宙ステーションの建設を進めた。

第2時日中戦争により、大幅に遅れていた計画を、一気に進めることだった。

インドネシア領に新たに設置された発射台、日本皇国が種子島宇宙センターにある発射台、ロシアが保有する発射台でローテーションを組み、1ヶ月で2回の物資輸送を実現した。

そして、日本が得意である無人飛行船に材料を載せて、宇宙ステーションを行き来させる体制をとった。


条約連合国は、前述した2つの国家群に対し、完全に隔絶した目標を持っていた。

「われわれは、月面に恒久施設を作る」

大統領の演説で宣言したことだった。

それによれば、皇紀2730年までに、月面基地を作り、そこに人々を住まわすという計画らしい。

可能か不可能かと問われれば、万人が迷わず可能と答えるだろう。

月へ最初に人類を送った国でもあった。

それを覚えているのだった。


こうして、各国がしのぎを削っている裏側では、地上では、先ほども述べたように、日本皇国が大和超級戦艦型空母1番艦「蕨」が就航した。

さらに、2番艦「浦和」、3番艦「大宮」も、3ヶ月以内に順次就航した。

第2次世界大戦時に活躍した、潜水艦型空母も、なぜか復活させる機運が高まっていた。


「機動性に優れており、原子力型にすれば騒音問題も及第点を与えることも出来る静音性…」

軍務総省と呼ばれる、陸海空軍各省を統括している官庁だった。

その会議の席上にて、日本皇国になぜ潜水艦方空母が必要かと題された報告書が提出された。

「そのとおりです。原子力型潜水艦空母は、地上の敵に一切見つからずに行動できると言う利点があります。事実、大東亜戦争初期のアメリカ本土空襲のように、隠密行動が出来る点です」

「だが、その後はかなりひどい状態だったじゃないか。実際に空襲が出来たのは2回だけだっただろ」

施設科代表の報告を聞きながら、軍務総省大臣は考えていた。

「とりあえずは、潜水艦の建造を決定する。これから、閣議及び国会での決定を経て、正式に辞令を交付することになる。それまでは、計画だけを進めておいてくれ」

「分かりました」

その直後に入ってきた人は、域を切りながら首相からの手紙を持ってきていた。

「大臣、今しばらくよろしいでしょうか」

「なんだ。申せ」

「首相より伝言です。空軍隷下宇宙部隊を独立させる旨の省令及び法律の改正案を国会に提出することを、次の閣議に提出するとのことです」

大臣は、ゆっくりと息を吐いた。

「やっとか…皇紀2689年にひっそりと誕生した宇宙部隊。部隊総長を呼べ。これからその話の会議を行う」

「了解!」

敬礼をし、伝令は部屋から出て行った。


「失礼します。宇宙部隊部隊総長、猪井恒星(いのいこうせい)ただいま出頭しました」

直立不動の格好で、彼は立っていた。

「入れ。君の到着を待っていた」

「失礼します!」

元気ありまくっているような感じだった。

「君を今日呼んだのは、他でもない、空軍から離れ宇宙軍と言う新しい組織を作ろうと考えている」

「身に余る光栄です」

彼は立ったままで言っていた。

「そこで、正式に法律が改正されたとき、君には軍務総省傘下宇宙軍省大臣補佐官兼軍務総省大臣補佐官に任命したいと思う」

彼は、即座に答礼した。

「ありがたき幸せ。その名に恥じぬよう、精進していく所存であります」

敬礼をしていた彼に向かって、軍務総省大臣は言った。

「正式な辞令は、追って連絡する。それまでは待機し、今回の件に関して口外せぬように」

「はっ!」

再び敬礼をすると、彼は外へ出て行った。

大臣はため息をついていった。

「さてと…彼は大丈夫だろうか…それよりも、有人飛行に関してどうなってる?」


同月、法律改正。

日本皇国軍務総省傘下空軍隷下宇宙部隊は、正式に日本皇国軍務総省傘下宇宙軍として発足した。

これにより、独自の予算請求を軍務総省に求めることが出来るようになった。

「さて、それよりも問題は、日本皇国が打ち上げる予定になっている有人宇宙船の話だが…」

宇宙軍傘下となった、航空宇宙防衛研究所所長が、軍務総省大臣がいる会議で発表した。

「我々が開発した、新型宇宙船は、種子島宇宙研究所ですべての工程を作られています。総員38名、限界質量900t。ただし、この質量の中には、燃料、本体、乗組員、荷物などのすべての質量を加味するものとします。宇宙ステーション側の改造工事はすでに終了しています」

「…これほどの巨大宇宙船、軍事転用は可能か?」

研究所所長は、ちょっと考えてから答えた。

「ええ、可能です。ただし、改造することが必須となりますし、現在宇宙軍用の宇宙船も開発中です」

「…そうか。ならば、その方面に関しては任せる。一切を軍事機密扱いとする」

こうして、日本皇国は、着々と宇宙軍の軍事増強を図っていた。

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