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111.
欧州連盟は、破竹の快進撃をしていた。
季節は秋へさしかかろうとしている。
なので、冬までにモスクワを陥落させ、ロシアを崩壊させるのが目的となっていた。
「攻め抜くぞ!」
「おう!」
戦車部隊は、上空からの支援を受けつつ、一気呵成にモスクワの目前まで攻めた。
秋口と言っても、すでに寒くなりつつある。
急いでいかなければ、凍てついていくだろう。
「アロイス中将。アーノルド陸軍元帥より連絡が」
指揮車に乗りこんでいるアロイス中将の副官であるパンス少将が声をかける。
「総司令官から?」
思わず聞き返して、うなづくパンス少将から受話器を受け取る。
「いかがいたしました、総司令官殿」
「ああ、今後の作戦計画を知らせようと思ってな」
そう言った瞬間、急激な爆発音が総司令官のほうから聞こえた。