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傴田元帥が出した結論は、複数あった。
まず一つ目は空爆を試みること。
すでに、敵がどのような道を通って進むかは把握されているし、想定外の出来事があったとしても、航空機による攻撃であれば、速やかに対処できる。
2つ目は、近くにいるロシア軍と連携し、皇国宇宙軍の情報をロシア陸軍へ提供し、地上で敵部隊をたたく方法。
すでにロシア側との連携は強化されており、ウブスナガミによる情報は今次の世界大戦の前から提供されているため、さほど難しくはないだろう。
そして、3つ目は、最終兵器を用いること。
すなわち、衛星爆弾の実戦使用である。
「どれがいいのだろうか。みなの意見を聞きたい」
幕僚のうち、すぐに答えたのは、総参謀長である真田佳信参謀中将だった。
「衛星爆弾を投下することについては、反対いたします。精度は増しているといえども、いまだに誤差は最大で1kmに及び、敵軍のみならず、味方に対しても被害を及ぼす可能性があります。先に提示された空爆並びに陸上攻撃を行うことについては異論はありません。皇国宇宙軍は、もうまもなくアメリカより貸与された航宙空母ワシントンとランデブーを果たします。それをもって空軍、宇宙軍の進撃開始とし、陸軍はあらかじめ進むのがいいかと思います」
「ふむ。ならば、その方向で考えよう。詳細を詰めたい。このまま考えていきたいのだが、大丈夫か」
誰一人として、異論はなかった。