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二劇目 「大浴場で大発見っ!?俺がS級スキルオーナーだって!?」

獣人少女は自分の名を「リリラル」と言った。

俺はその語感から転生前の名前は封印して、しばらく思考した後に「ザゥ」と自称。

「へー、変な名前ニャね」

え?自分では君らの世界に寄り添ったつもりだったんだけど。

俺は内心少し泣きながらそう心の中で呟くと「う、うん。良く言われる」と顔を引きつらせて答えた。



そして大浴場に到着。

暖かい湯けむりと心地の良い水の音が視覚と聴覚を悦ばせる。

リリラルたちの移住を許された思い出の劇場は屋外にあった為、雨風を凌ぐのにはあまり得策とは言えなかった。その為の一番上にマントを羽織っているのだが、忘却街に残されたマントはボロボロの布切きればかりだ。

身につけている衣服も同じようなものだった。

リリラルはその着古された衣服を、俺の目の前で素早く脱ぎすてた。



え?あ、あぁ。少女→幼女だからほごしゃと同伴で混浴なのね?把握。



俺は自分の立場を理解すると彼女の臀部に注目した。

いや、やらしい意味じゃなくて。

お尻の尾骨のあたりから、もふっとしたキツネのような尻尾が生えていたのだ。

そう、彼女は獣人。だが・・・

「リリラル、キツネの獣人?」

俺はずっとその耳の形から、猫だと思ってたのだ。

「え?そうニャけど?」と彼女。

小さく口を開いて無防備に小首を傾げている。

そのポーズは可愛いんだけどさ。

「だったらなんで語尾が「にゃ」なんだよっ!!!」

当然じゃない?と言わんばかりのリリラルの顔に、俺の方が間違ってるかと誤解しそうになったわっ!!

「犬かと思ったかニャ?」

「思わねーよ!!!」



カボーーーー・・・・・ン



反響の良い聞きなれた桶の音がほっとさせる。

浴場に脚を踏み入れると、町の銭湯よりは広い印象を受けた。





リリラルの発展途上の少年と見間違う裸体は、ドキドキ感を少しだけ緩和させた。

「はやくー、こっちニャ〜」

俺の方に振り向くと俺はその緩和させた緊張を改めて引き締め、視線をリリラルの顔にロックした。

男女の違いを明らかにする、大切なところだけは見てはいけないのだ。

「その手に持ってるので隠そうかっ!なっ!!??」

リリラルはどこから出したのか、いつの間にか手に豆絞りの手拭いを持っていた。

俺はそれで隠すように指示すると、悪戯半分に「ザゥ、スケべさんニャ」と笑った。

「湯の中で、『人』は『ヒト』になる。そして全てのしがらみから解放されるのだ」

「・・・!!??」

突然の名言(?)と語尾に癖の出ないそのリリラルの発言に、俺は面食らった。

「何、今の?」

「聖王様のお言葉ニャ。だから聖王様は大浴場という文化を大切にしたニャ。それまで敵対していた軍人さんも政治家さんも魔術師さんも誰もが皆、性別を超えてヒトという哺乳類になる。だから照れは禁物ニャ♪」

そう言ってリリラルは堂々と仁王立ちした。

「だから隠せーーーーーー!!」

俺は速攻で服を脱ぐと、一目散へ湯船にダイブした。





カポーー・・・・ン



その湯は、しっとりと骨身に沁みる。

転生されて暫くはあの劇場で、リリラルが俺を見つけるまで気を失っていたのだろう。

疲れた身体と冷えた筋肉をほぐしてくれる。



他にも数人がに入っており、湯船には妙齢の女性や初老の男性が、全身を弛緩させたような表情で疲れを癒していた。



・・・やはり異世界には男女混浴が普通なのだろうか?

目のやり場に困る・・・。



俺の横では、そんなことはお構いなしに頭に手拭いを一丁前に乗せた少女リリラルが鼻歌を歌いながら気持ち良さそうにしていた。

・・・ん?その歌って。

「それ、ドリフターズじゃね?」

「ニャ?」

「いっい湯だなっ、あははんってリズムだったけど」

「ニャに言ってるニャ?」

またしても小首を傾げて俺の問いに疑問符で応える。

そして暫くして、彼女はまた「んっん、んんん、んんん〜♪」と鼻歌を歌いだした。

「それだよ、それっ。どこで知ったの?」

「だからさっきから何を言ってるニャっ!?」

すると今度は眉を顰めるリリラル。

ちょっと目がマジになってる。

まじか、この子本当に気づいてない。

異世界でも湯船に入ると自然に口ずさんでしまうのか。

「これはちょっとした恐怖ですね」

俺は某有名ラノベのセリフを場違いに使用して突っ込んだ。



閑話休題。



「ところで、さっき言ってた“ブルマ軍曹”と“片翼天女”って誰?同盟がどうとかって言ってたけど」

「あぁ、その二人は残酷ピエロが来た時に唯一まともに戦えたスキルオーナーにゃ。ただ残念ながら二人の気質は”強者至上主義”。つまり強いものが偉いという考えで、残酷ピエロの略奪行為を黙認してるんだニャ。だからもし彼女達より強いスキルオーナーが現れれば、その主義を逆手に取って説得して、仲間に出来るかもしれないニャ。二人が組めばおそらく奴らはイチコロにゃ」

「でもそれには、二人を説得出来るだけの強力なスキルオーナーが必要だと」

「そういう事ニャ・・・」

するとまた頭の耳をクニャッとさせて、リリラルは同意すると湯船に口をつけてブクブクとさせた。

「もし俺にそのスキルがあれば良かったんだけどねぇ」

一応手や足を確認するが、S級ハイエストスキルの紋章はどこにも無かった。

「残念ニャ・・・」

「ごめん、期待させちゃったか」

俺は少し逆上のぼせた為に湯船を上がる。

そしてリラルルに背を向けながらヘリに腰を下ろした。

その時。



ザバァァァァ!!!!!



と勢い良く水の音が後ろから聞こえた。飛沫と共に亜たり一面に湯煙が立ち上がる。

「ニャ・・・、ニャ・・・、ニャ・・・」

後ろを向くと、リリラルが湯船の中で仁王立ちし俺を指差していた。

頭に手拭いを乗せたまま、耳ともふっとした尻尾をピンとさせ、その大きな瞳を見開いていた。

「そ、その背中・・・」

え?何?俺の背中?



「せ、背中に・・・ハ、S級ハイエストの紋章があるニャッッ!!」

主人公が若返ってる描写を飛ばしたので、S級の呼び方と共に前話を変更します。

よろしくお願いします。

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