third day-4-
羽のように柔らかく
宝石のように輝いて
そんな心を
手に入れたかった
gentle love
香南が静かに抱きしめてくる。
肩はもはや濡れていたが気にせず七海も抱きしめ返した。
落ち着いてきた頃七海がまた話し始める。
「私がどうしてレオンくんとお話ししたかわかりますか?」
「…っ」
香南は顔をガバッとあげてまた不安そうな顔をした。
その顔に苦笑いをして香南の胸に頭を預ける。
「香南さんにそっくりだったんです。初めて出会った頃の香南さんに。」
「…え?」
「なんか絶望していると言うか、もうどうにでもなれと言うか…そう言う気持ちでいっぱいな感じだったんです。」
「…」
「私も双子が危ないって思って接するのやめようと思ったんですけど、やっぱりやめれませんでした。レオンくん日本のことを知りたいって、双子の優しい気持ちを感じて双子と仲良くなりたいって。だから、私協力しようって思いました。双子にとっても、良い出会いだと思って。彼を救ってあげたくなったんです。あなたと同じように。」
「なな、み…」
七海は顔をあげる。そして香南をまっすぐ見据えた。
「レオンくんには、香南さんの許可がなければならないと言いました。香南さんが言ってくれてることも正しいから。それを先ほど伝えようとしていたんです。」
「…」
「私も、待ちます。彼と話したくないのならいっしょに彼に待ってもらいます。けど一つ言わせてください。彼は、子どもなんです。双子と同じぐらいの」
「っ…」
香南が目をそらす。けれど七海が頬を両手でつかみ自分の方へ向けさせる。
「大人じゃないんです。だから、お金持ちなんて自分で好きでなったわけじゃない。香南さんと同じように大人に振り回されている子供の一人でしかないんです。そのことだけはわかってあげれないでしょうか。」
「…」
「それまでいっしょに待ちます。ここは夢に国だから、そんな奇跡起こってくれると私は信じてます。」
よしっと七海が腰を上げると香南の手を引っ張りベランダへ向かう。
「星を見上げましょう!それからたくさん夢を語りましょう!私たっくさんあるんです!香南さんにお話ししたいこと!夜空って意外ときれいなんですよ?」
七海の笑顔に香南の緊張が少しずつほぐれていく。
それから七海はひたすら話した。
自分の幼い頃の話、
そして幼い頃描いていた小さく暖かい夢
最近の双子の事
琴乃との出会いや始めて喧嘩した時のこと
高校の時に感じていた憤り
香南は相槌はなかったけれど手をぎゅっと握ってくれていた。
七海はそれが少しずつ暖かくなるのを感じていた。
「…」
「「…」」
お付きの人と一緒に部屋に入った双子はこの状況でどうしたらいいのかわからなかった。
レオンも怯えたように腕で自分を守るようにうつむいていた。
お付きの人は3人のために飲み物やお菓子を持ってきてくれたが双子は受け取らず悩んだ顔をしていた。
「どーすりゃいいんだ?」
「ぼ、ぼくに聞かれても…」
双子がレオンを見てもずっとふさぎ込んだままだった。
とにかくレオンと遊んだら気がまぎれるかもしれない。そう思い双子はレオンの傍に寄る。
「Le…Leon」
「I play with you!」
笑顔で寄り添うが俺に近づくな!という様に後ろの方へそっぽ向いてしまった。
何度も同じように双子が優しく声をかけるが逆効果のようにだんだんレオンの沈み具合がひどくなった。
双子は顔を見合わせる。
「み、みう、どうしよう…」
「うーん、こうなったら…おい瑠唯いいか。」
そして双子がヒソヒソ話をする。それをSPは厳しい目つきで見つめていた。
瑠唯はソファの後ろに回る。
そして美羽が俯いたレオンの目の前に膝立ちをする。
「いけっ!瑠唯!!!」
「うん!ごめんなさい!」
瑠唯は後ろからレオンの顔を上げさせる。
自動的にレオンの目の前には美羽の顔が。
「にらめっこ!!あっぷっぷ!!!」
否美羽の変顔が。
レオンはびっくりしたように美羽の顔を見つめているが白目で目じりを持って変な顔を作ってる美羽のは映ってなかった。
「くっそ~これでどうだ!」
口の端も手で持って気分は魔王様なのだろうか。もはや気持ち悪さ満点である。
「おい!るいおまえもやれ!」
「ええっぼくも?!」
「いいから!」
そして恥ずかしそうにレオンの前にやってきて美羽ほどでもないが手で目と口を持って変な顔を作る。
試行錯誤しながら徐々に変な顔をしていく双子にレオンはとうとう折れた。
「ぷっははははっ!!」
この笑い方にはお付きの人も驚いたかのように目を見張った。
双子は変顔をやめレオンを見る。
すると目の前には腹を抱えて笑っているレオンがいた。
「「笑った!!」」
双子は嬉しくなって再び変顔を作り始めた。
しばらくするとレオンも変顔をしたくなったらしく口端を手で押さえてみたりしていた。
それを見た美羽が手取り足とり指導をし始める。
そしてその顔を瑠唯が見て判断するのだ。
「It's funny!」
これが瑠唯の高評価なのだが、変顔マスターの美羽にかかればすべてが高評価。
しまいにはレオンがお付きの人を呼んでお付きの人にまで変顔をマスターさせてしまうこととなった。
最後には変顔で集合写真まで撮ることとなった。
笑い疲れたためおやつを食べることにした。目の前に並べられていたのはバームクーヘンだった。
「It's delicious!」
「Delicious!」
双子は嬉しそうにお菓子を食べ始めた。
それを見てレオンもお菓子を食べながら嬉しそうに話す。
「It's is German cake.I like it…」
そして悲しそうに笑いバームクーヘンを見る。
双子は一緒にバームクーヘンを見る。
けど美羽が顔をあげた。
「I like Leon!I like Leon very much!」
すかさず瑠唯も前を向く。
「I like Leon very much too!」
そしてレオンの取っていたバームクーヘンを美羽が奪う。
「いただきっ!」
「No!」
すかさずレオンが美羽のバームクーヘンを奪う。
それを見て美羽がニヤッと笑う。
「I like your smile too.」
レオンは真っ赤になってうつむくがすぐ顔をあげた。
その顔は照れたように笑っていた。
それから今度はレオンがサッカーボールを持ってきた。
ドイツでは人気のスポーツでレオンもやっている様子だった。
瑠唯はあまり得意ではないが、レオンに教えてもらい、リフティングも5回はできるようになった。
美羽は持ち前の運動神経ですぐに上達しレオンとボールの取り合いの練習をできるまでになった。
気づけば3人ともクタクタでソファで転がっていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
お付きの人は少しだけ嬉しそうにため息をつくとソファからベッドへ3人を移動させようとしたがレオンがレオンの両端にいた瑠唯と美羽の手を話さなかったため移動させることができず、3人に毛布をかけることとなった。
やっと一仕事終えたとライトを消しに行こうとする。
最後にレオンの顔を見るとそのの顔はとても幸せそうな顔をしていた。
にらめっこマスター美羽。
にらめっこでは負けなしです。
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