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gentle love  作者: 朱希
アメリカ編
6/33

third day-1-

まばゆい光が僕たちを包み込む







空がとても近い







星にだって








手が届く世界







gentle love









次の日朝食を食べ終わりまたレオンが来るのではないかと心配していたがそれは杞憂に終わった。

双子を見ると少し寂しそうな顔をしていたが七海が頭を撫でると元気にはしゃぎまわった。

香南もその双子の様子に気づいているようだったが気にしていないふりをしていた。

今日行くのはジャングルのようなテーマパーク。

中にサファリパークもあるようだった。

昨日よりも汚れてもよく、動きやすい服装で行動することにした。

双子は半ズボンにTシャツ。色違いのお揃いである。

香南も半ズボンで綺麗な足を出し上はタンクトップに半袖のパーカーを羽織っていた。

七海はサンダルに短パン、Tシャツ姿。張り切って帽子もかぶっている。

「おい、なな、短パンは…」

「?大丈夫ですよ!よし、皆の者、今日も一日楽しむぞー!」

「「おおー!」」

「なな…」

七海と双子の気合は十分。

心配の様子の香南がサングラスをかけると元気よくでかけていったのだった。









「かばっ!にーちゃん、かば!」

「ホントだな。」

「あっちにはワニもいるぞ!」

「乗り出して食べられないようにね。」

「ひいっ!!みう!のりださないでっ!」

「わーってるって!」

一番最初にサファリパークへ向かった。

ライオンなども放し飼いで飼っているようで双子も初めて近くで見るライオンを楽しみにしていたのだ。

興奮する美羽を一生懸命抑える瑠唯。そして双子が見えやすいように配慮しながらその様子を香南はビデオカメラで撮影していた。

「瑠唯、美羽、楽しいか?」

「うん!すげー楽しい!」

「たの、しい!!」

二人の笑顔が全てを物語っていた。

七海も嬉しそうに後ろで笑っていた。

「あ、ななの後ろを変な鳥が飛んでるぞ」

「えっどこどこ!?」

「ちょっ美羽!」

「ほんとだ、あかい?くろい?」

「すげー…」

そして、いよいよライオンブースに到着した。

『Look at right place』

「おい、ライオンだぞ。」

香南がいる方向を指すと二人はきらきらした目でその先を追いかける。

「ライオンだー!!」

「ライオン!!」

二人はガオー!!と叫びライオンの興味を引き付ける。

「そんなことしても来ないよ。」

「こーい!ライオン!」

美羽の声に反応したのか本当にライオンが向かってきた。

「わあっ!にーちゃん!」

美羽は驚いて思わず香南にしがみつく。

「叫び過ぎなんだよ。あいつらは俺らとは違う世界で生きてるんだ。そう、違う世界に。」

「「ちがうせかい?」」

「弱い者には容赦しねえ。強いやつが生き残っていく。百獣の王って言われる所以だな。」

「「ふーん…」」

双子はわかっているのかわかっていないのかよくわからない曖昧な返事をする。







わからなくてもいいのだ。

彼らが違う世界で住んでいることは。








香南は二人の頭を撫でると違う場所にもライオンがいると指をさす。

二人はそっちの方に興味が移りまたもやライオンだと興奮している。

七海だけが少しだけ悲しそうな顔をして香南の方を見ていた。















その後は環境に付いて学べるアトラクションがたくさんある場所へ向かった。

様々な野菜、植物を育てているところを見学するもの、絶滅危惧種に付いて学ぶもの、英語だったが見るのも全てが双子にとって真新しく何か考えさせられるものがあったようだ。

自分で取った野菜を近くのレストランで材料にして食べさせてくれる。

双子はイモ掘り保育や小学校低学年の時にトマトを育てたり野菜に関しては触れてきたが、香南は初めてのようでとても緊張していた。

「七海、手でここを掘ってもいいのか?」

「はい!そうです。あ、けれどゆっくり掘ってくださいね。お芋傷つきますから」

「ああ、わかった。」

一生懸命汗をかきながら優しく土をかき分けていく。

「ななちゃん!おいもさんはっけーん!」

「発見!」

「凄い凄い!!」

掘ったお芋を次々とだしていく。

「結構掘れるもんなんだな。」

「そうなんですよ!お芋は強いんです!」

取れる個数の多さに感動していると双子がお芋の傍へ寄って行った。

「おいもさんありがとう!」

「ちゃんとおいしくのこさずいただきます!」

この場所で一番感じて欲しいものを感じてもらえたなと七海は嬉しく思った。










夕方からは再び絶叫系のアトラクションに乗ると美羽が言い始めてたため事前に取っておいたファストパスを利用し二手に分かれた。

七海は瑠唯と一緒にお土産を選び、ショーを見て楽しみ、香南は美羽と一緒にアトラクションを楽しんだ。

気が付けば空は真っ暗。明るいキラキラした夜空の宝石に囲まれていた。

4人は夜空を眺めながらホテル行きのモノレールに乗りホテルへ帰った。

「今日も楽しかったね!」

「うん!おれね!今日乗ったジェットコースターも好きだった!」

「ぼくは、やさい取ったの楽しかった!」

「よかったな。」

四人で楽しく今日の事を話しながら部屋へ戻ろうとしていると突然物陰から何かが現れた。

何?と思っているうちに七海の手が取られ引っ張られていった。

「七海!!!」

香南も驚いて行動に出られなかったのだろう。

七海たちが部屋の角で曲がった頃にようやく動き出す。

七海は走り出していると気づく。

その人物はとある部屋のドアをキーで開けると七海を部屋へ入れる。

そして改めてその人物の顔を見た。







「Leon…」








レオンはとても悲しそうな顔をして七海を見つめていた。

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