first day-2-
知らない香りを
君は運ぶ
目を閉じて
僕を感じて
gentle love
「re…ready go!」
瑠唯が手を振りかざすと二人は一斉に泳ぎだす。
最初は同じぐらいの速度だったが徐々にレオンが遅れてくる。
そして結局美羽が勝った。
「やったー!」
「みうすごい!」
「凄いじゃねえか。」
「やったね!」
3人で喜んでいるとレオンが到着した。
そして悔しそうに美羽を見る。
「Miu,Louis,once more」
その言葉に美羽はぎょっとする。
「え~またあ?」
「Once more!」
負けず嫌いなのか何度も迫ってくる。
「お、Ok」
少し休憩してからもう一度類の合図で始めることになった。
その間一度陸に上がりレオンと美羽と瑠唯は英会話を楽しんでいた。
「Are you Japanse?」
「Yes,We are.」
「あ、Are you American?」
「No,I'm a German.」
「German…?」
美羽と瑠唯がどこだろうと後ろを向き香南を見つめる。
美羽と瑠唯の後ろに七海と香南が座っていた。
香南は一瞬肩を揺らしたが目を閉じると少し寂しそうな笑顔を見せ単語の意味を伝える。
「ドイツ人だよ。」
「ええっドイツ人!?」
「すごーい!」
二人が興奮してレオンに呼びかけると雰囲気で褒められていることが分かったのかレオンが顔を真っ赤にする。
「ドイツ語話せるのかな?!」
「あ、にーちゃん、アンファング!」
「ああ、そうだな。」
そして二人がアンファングアンファングというが一向に通じている気配がない。
「美羽、瑠唯anfang。グはいらないんだよ。」
「「へえ…」」
「anfang?」
なぜ?というようにレオンがこちらを向く。たしかに、知らない人からしてみれば突然”始まり”と言われてもなんのことだか全くわからない。
「他に、なんかあるかな?」
「あ、Leonに教えてもらおうぜ!Leon,teach me えーと、German…?」
「OK,instead,teach me Japanese」
「OK,OK!」
瑠唯と美羽が頷きレオンの方を向く。
「ありがとう!」
「ありが…とう?」
「It means Thank you!」
瑠唯が補足説明をしレオンが意味を理解したように頷く。
「あり、が、とう」
「ありがとう!!」
「ありがと、う」
「Yes!Yes!」
レオンは少し考えたような仕草をするとにやりと二人の方を向く。
「Danke」
「だ、Danke?」
「Danke?」
「ja,Danke」
ohと口を一度押さえるとレオンは再び口を開く。
「it means…Thank you」
「oh!」
「ありがとう、Danke、thank you!」
美羽と瑠唯が嬉しそうに3つの言葉を繰り返す。
レオンもどこか誇らしそうにうなずいていた。
再び瑠唯の合図と共に競争が行われた。
しかしやはり美羽が勝つ。
またもやレオンは悔しそうに再試合を申し込む。
「え~I'm tired.」
疲れたように言う美羽に七海はフォローをする。
「えーっと、Leon,The time of supper will come soon. so We go back our room.」
周りを見るともう夕方になりつつあり人も少なくなっていた。
そろそろ夕食の時間だと伝えるとレオンが周りを見渡す。
「oh,Ok I will go back my room soon.Ah…」
そう言えば自分は名前を言い忘れたと七海はレオンに笑顔を向け握手を求める。
「Nanami.I am a Miu and Rui's sister.」
「Nice to meet you,Nanami.」
七海の隣にいた香南も握手は求めないものの自己紹介をする。
「Kanan, Miu and Rui's brother」
「…Oh Nice to meet you, Kanan」
レオンはその行動に笑顔で答えた。
七海は後ろの大人の人にも挨拶をしようと思うと思ったがレオンがプールから上がりsee you というとそれに付いて去っていってしまった。
「行っちゃった…」
「いいだろ。食事の時間だし、そろそろ俺らも行くぞ。」
「はーい!」
「ご飯なんだろな!」
「うん!僕、お腹ぺこぺこ」
「俺も!」
二人は笑いながら更衣室の方へ向かっていく。
「あいつにはかかわらない方が良いかもしれねえ。」
双子についていこうとした時、ぼそっと香南が呟いた。
「…え?」
「おそらくこんな広い場所でもう関わることはないと思うが、あの大人達は多分親じゃねえと思う。SPかなんかだろ。」
「SP…?」
「それだけ厳重に守らなきゃならねえ子供ってことだろ。あいつのの傍にいたら双子が危ない目にあうかもしれねえ。」
「は、い…」
折角できた外国の友達になるべく会わせないようにするのはとても心が痛む行為だった。
なんとかできないのだろうか。話すぐらいいいのではないのだろうか。
提案しようと香南の方を見ると香南が傷ついた表情をしていた。
まるで初めて会った時のような、悲しい切ない顔。
「香南、さん?」
「あ、ああ。わりい。折角あいつらにも友達できたのにな。」
七海が声をかけるとその表情は七海と接する時の表情に戻った。
「いいえ!早く双子のところに行きましょう!」
「そうだな。」
悲しい顔をして欲しくない。
理由を聞きたかったけれども、双子のためにレオンと会う方法を見つけ出したかったけれども、それよりも早く香南の笑顔が見たかった。
七海は香南の手を握ると双子の元へ駆け出した。
夜ご飯はアメリカンサイズのステーキ。
それぞれ自分の顔と同じぐらいの大きさで記念に写真を撮ってしまうほどだった。
4人はお腹がはち切れるほどステーキを堪能するとあっという間に眠くなってしまった。
少し早目のシャワーを浴びると明日からのことも考え早めに就寝することになったのだった。
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途中レオンが使っているja(ヤと発音します)はドイツ語でyesを意味します。
うっかりドイツ語で話しそうになって口を押さえた、ということです。