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gentle love  作者: 朱希
アメリカ編
3/33

first day-1-

あの雲の向こうには






何が待っているんだろう







手をかざしても見えない






特別な明日









gentle love








朝早くから支度をして到着した成田空港。

搭乗手続きや出国審査をすましラウンジでゆっくりした時間を過ごすことにした。

今回の旅はファーストクラスでの移動なためファーストクラス用のラウンジに向かう。

「えっと、香南さ…ん…」

「なんだ?」

「ななちゃん!すっげーきれいな場所!」

「うん、そうなんだけどね。…ここ、ファーストクラスって…」

「ああ。狭いの嫌だろ?それに俺も知らねえ奴が近くにいるの嫌だし」

「ここで、やすんでいいの?」

「うん、そうなんだけどね。あの、本当に良いんですか…?」

今まで庶民の暮らしをしてきた七海にとってファーストクラスというのは雲の上の存在だった。

しかしなんでもないように香南はラウンジに入っていく。

「大丈夫だ。全く問題なし。さ、入るぞ。飛行機見れるところもあるからな。」

「「ほんとに?!」」

「国際線だからいろんな飛行機会社の飛行機が止まってる。早く見に行こう。」

「るい!行くぞ!」

「ま、まって、みうっ」

美羽に手をひかれトロイ足を一生懸命動かしてラウンジに入っていく瑠唯。

今回の旅行に関しては香南にすべて任せていたけれども、





も、もしかして、私とんでもないことしちゃった…?






このファーストクラスのお金で日本にあるネズミーランドに何回行けるのだろうと頭の中で計算してると香南が戻ってきて七海の手を握った。

「今回はななのために用意した旅行なんだ。俺は、お前のためにできる最高のことをしてやりたかった。それに、俺の事情と合わせたらこれが一番だったんだ。俺の気持ち汲んでくれないか?」

「香南さん…」

確かに香南の都合もある。高いお金を払えば払うほど安全面、プライベートな面は保障されるのだろう。そして今回は七海の誕生日プレゼントと称していくことになった旅行だった。

香南が一生懸命自分のために考えてくれたことだとするともう何も言えなくなる。

七海は香南の手を握り返した。

「ありがとうございます。私、今、気分はお姫様です!幸せです!」

そう、今からネズミーワールドというお城に行くのだ。

香南に笑顔を見せると香南は一瞬驚いた様子だったがクスリと笑う。

「ああ、そうだ。何なりとお申し付けくださいませ、お姫様」

握った手の甲を顔まで近づけ唇を落とす。

七海は顔を真っ赤にし硬直状態になってしまった。

「では、参りましょうか。」

手をつなぎ一緒に入っていく。その姿はネズミーの世界に出てくる姫と王子のようだった。









それからラウンジでゆっくりした4人は飛行機に乗り約一日の長いフライトを楽しんだ。

途中で乗り換えをしオーランドに着いたのは翌日、しかし現地時間で言う出発した日の同じ時間だった。

入国審査でも特に何もなく入国することができた。

入国審査をパスし荷物を受け取ると迎えの車が来ていたのでそれに乗りホテルへ向かう。

その日はフライトの疲れも考慮し一日ホテルを楽しむことにしていた。

ホテルと言っても様々なスポーツを楽しむ施設があり、飽きることは全くない。

休みながら風景を楽しむのも悪くはない。

まさにアメリカ、広い土地を最大限利用した場所なのである。








「ひ、広いお部屋だね」

「見ろよるい!でっけー船が動いてるぞ!」

「え、どこ?」

ベランダにいる美羽のもとへ瑠唯は走っていく。

ホテルの部屋もスイートルームを使用しており日本で使うホテルより何倍も広い部屋だった。

七海はトランクを二つ、ベッドルームの傍に置くと他の部屋を散策していた。

「本当に、きちゃったんだ。外国に。」

案内も外から聞こえてくる言葉も全て英語。

日本語が周りを覆っている日本とは全く違っていた。

七海は少しの不安とそれ以上の楽しい気持ちを抑えリビングへ向かう。

すると香南は双子と一緒にベランダでのんびりと過ごしていた。

「にーちゃん、本当にここ日本じゃないんだよな。」

「に、日本語、誰もしゃべってない。」

「そうだな。ここでは俺らしか知らねえんだ。秘密の話、し放題だな。」

「そっか!そうだよな!へへっ秘密の話!」

「なにがあるかな?」

双子はこそこそと話をしてそれを香南が微笑ましく見ていた。

七海の視線に気づいたのか香南がリビングの方へ向かう。

「どうした?疲れたか?」

「いえ!なんだかわくわくしちゃって…今にも踊りだしそうな気分です。」

心の中では興奮しているのにいざ行動になかなか出ない気持ちだった。

すると双子が七海と香南の方へ来た。

「ななちゃん!おれ、あのプール行きたい!!」

「ぼ、ぼくも!!」

「?どこ?」

双子が二人の手を引っ張るのでついていくとベランダからホテル内にあるプールが見えた。

そこはとても大きく、人もそれなりにいるようだった。

「でけえプールだな。」

「よーし!じゃ遊ぼうか!」

二人の提案に七海が頷くと早速準備をしてプールに向かうこととなった。









「はい!じゃあ準備体操しようね!」

「「はーい」」

プールへ向かうと荷物をロッカーの中にしまいこむ。

そして1・2・3・4と七海に続いて準備体操をする双子。香南も穏やかに笑いながら一緒に準備体操をしていた。

ある程度準備を終えると借りてきた浮き輪を持ち出す。

「よし!じゃあ泳ぎましょう!」

「「わーい!!」」

瑠唯と美羽に浮き輪を渡すと一目散に二人はプールに飛び込んで行った。

「香南さんも行きましょう!」

「あ、ああ。」

香南も水着を着た時点でサングラスを外していた。

七海に手をひかれ一緒にプールへ入っていく。

「なな、」

「なんですか?」

入る寸前で香南が七海を眺め耳元で話しかける。

「水着、似合ってる。」

七海は耳を押さえ、顔は真っ赤である。

そう、このために七海は新しい水着を琴乃監修の元購入しに行ったのである。

琴乃の推しでビキニになってしまい恥ずかしいからと日本では見せてなかったのだが、今日ようやく香南は七海の水着姿を拝めることができた。

「あっ…」

「美羽!瑠唯!なるべく離れんな!」

「にーちゃーん!みうが、おす~」

「にーちゃん早く!」

香南は嬉しそうにため息をつくと双子の方へ泳ぎだした。






「香南さんこそ、かっこよすぎです。その格好。」







逆に香南の新しい水着姿を七海は見たことがなかった。

香南も香南でメンバーに付いてきてもらい買いにに行っていたのだった。

プールへ入りプールの水をばしゃっと顔にかけると七海も3人の方へ向かっていった。

「ななちゃん!おれ、にーちゃんと競争するからるいとみてて!」

「えー?美羽に勝てるかな~?」

「かーつーの!」

「あっちの方に競泳用の25Mプールがあるからな。人いねえしあっちならできるだろ。」

「みうも、にーちゃんも、がんばって!」

「おう!ぜってーかつ!」

「俺も負けねえぞ。」

香南が嬉しそうに美羽の頭を撫でる。

「じゃ、瑠唯は私と一緒に審判だね。」

「う、うん!頑張る!」

体を温めるためにも人の多いプールでひと泳ぎした後4人は競泳用プールへ向かった。

数人いたがあまり影響しないだろうと2レーン借りることにした。

「はーいいくよー!」

七海がスタート地点でスタートの合図をすることになり、瑠唯がゴール地点で待っていた。

「ああ」

「うん!」

「よーい、スタート!」

手を振り上げると二人は一斉に飛び込んだ。

美羽は小学校のプール教室やスイミングクラブの無料教室に通っており、飛び込みはできるようになっていた。

香南も運動できるのか、全く苦ではなさそうにスタート台に上っていた。

二人が泳ぐのを七海はゴールに向かいながら見る。

しかし体格差もあり香南が圧倒的に速い。

「がんばれ~!」

瑠唯は一生懸命二人を応援している。

七海がゴール地点に付いた頃、香南がゴールした。

そしてしばらくして美羽がゴールをした。

「くやしー!!くっそー!」

「まあ、体格差があるしな。」

「みう、かっこよかったよ!」

「小学生にしては早いし凄いわよ美羽!」

3人がフォローするも元が負けず嫌いな美羽は納得いっていないようだった。

「絶対にーちゃんより速く泳げるようになる!」

「そうか、俺も負けねえようにしねえとな。」

「うん!よっし!にーちゃん練習しよ!」

「ええ?!まだここで泳ぐの?」

瑠唯が嫌そうな顔をする。向こうのプールは娯楽のために付くってあり浮き輪を使ってもいいが、こちらのプールは競泳用。

もともと運動も苦手な瑠唯にとって楽しめる場所ではなかった。

「るいもいっしょに泳ごうぜ!おれ手伝うし」

「う、うん…」

瑠唯がいやいや頷いているのを見て七海もなんとかしようと思っているともう一つ向こうのレーンから声が聞こえてきた。

「Excuse me?」

美羽が気付きレーンの方を向くと美羽たちと同じ年齢ぐらいの少年がこちらに向かってきていた。

「Can I compete together? 」

「??」

「I want to compete you,don't you?」

「えっと…」

困ったように美羽は香南の方を向く。すると香南は驚いたようにその少年を見ていた。

「にーちゃん?」

「あ、ああ。美羽と競争したいんだって。」

「おれと!?」

美羽は嬉しそうにその少年を方を向く。

「しようぜ!じゃなかった!Yes!I swim together too!」

美羽が返事をすると嬉しそうに3レーン目に来て握手を求める。

「My name is Leon.What's youre name?」

「My name is Miu!」

「?Mi・・?」

「みーう!」

「み…う?」

「Yes!Yes!」

美羽はレオンと握手をしそれから瑠唯をプールへ引き連れるが瑠唯は恥ずかしそうに美羽の後ろに隠れる。

「ほら、そうしていると外国人のお友達増えないよ?折角英語覚えたでしょう?」

「大丈夫だぞ瑠唯。ゆっくりでいいから。」

香南と七海が説得するとコクリと頷きレオンの前に出る。

「My name is Rui」

「Louis…?Are you king…?」

「え?」

王様?なんで?瑠唯が泣きそうな顔で香南と七海の方を向く。

すると香南がクスリと笑う。

「昔有名は王さまでルイってやつがいたんだよ。」

「ええっるい王様だったの!?」

「ち、ちがう!」

「だから昔よ」

4人で話しているとレオンが苦笑しながら紡ぐ。

「It's joke.OK Louis,Why don't you swim together?」

「え?!ぼ、僕も?No!I can't swim!」

首を横に振りながら答える。

「Leon!You swim with me!That's all!」

美羽が瑠唯を守りながらレオンに言う。

「Ok.」

レオンは少し残念そうにしたが準備をし始めた。

美羽も瑠唯を宥め二列目のレーンで準備をする。

すると近くに大人の人間があわててやってきて英語ではない言語でレオンに耳打ちをしていたがレオンは少し怒った様子で無視をしていた。






レオンくんの親族かな?







そしてレオンは悪戯をしかける子供のような笑顔で再び瑠唯に声をかける。

「Louis,You say "ready go" when we start here.Can you do it?」

「Yes,o…OK…」

そしてスタートラインで瑠唯も準備する。瑠唯もこの競争に参加させてくれたことが七海は嬉しかった。

「大丈夫よ。」

瑠唯の隣に七海も付く。

瑠唯が前を向くと二人がこちらを向いて頷いた。

お気に入り登録、拍手ありがとうございます!

どこまで長くなるかわかりませんがよろしくお願いします!

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