sechs
いのりつづけた
ねがいつづけた
あなたたちをおもいながら
gentle love
「ついに来ちゃいました…」
七海が今いる場所はミュンヘン国際空港。
ここからさらに他のヨーロッパの国へ行く者、ドイツの他の都市へ行く者様々な人たちが行きかっている。
半日を越える移動の末、ユーロ圏に入るための厳しい入国審査を終え七海たちはようやくドイツの地に降り立つことができた。
「すげー!外人ばっかじゃん!」
「み、美羽、気を付けて、すっスリに、あっちゃうよ」
「わーってるって。昔行ったアメリカとまたちょっと違うよな。」
「そだね。」
七海がちらりと双子を見ると疲れた様子ではあったが意外と楽しそうにしていた。
特に瑠唯は先日の顔色の悪さが少し回復して今からの旅行への期待に胸を膨らませているようだった。
あれからすぐに美羽がレオンに連絡を取った。
驚いた様子であったようだがすぐに手配をする旨が伝えられた。
一心不乱に準備をするとホワイトボードにメッセージを残し3人はタクシーに飛び乗った。
空港でドイツのパンフレットを買い、レオンから連絡の来た航空会社の窓口まで行く。すると用意してくれていた席はファーストクラスだったようでまたもや素敵なラウンジへと案内されたのだった。
そのときに七海は改めて双子にレオンにどのように伝えてあるのかを教えてもらった。
いつもと違う声色にレオンも何か気づいたらしい。どうしたのかと問われ美羽はすかさず答えた。
『ドイツに行かせてほしい。ドイツでしばらく瑠唯と二人暮らせる準備をお願いできないか』
『え?』
突然の相談にレオンは大層驚いたらしい。
しかし瑠唯が精神的に参っていること、美羽もテニスをするのが辛くなったこと。それを踏まえ今日本に居たくないこと、気持ちの整理をしたいことを伝えるとレオンはうなづいてくれたらしい。
好きなだけいれるように手配はすると伝えられ一時間後には航空チケットの番号が書かれたメールが送られてきたらしくそれでいそいそと帰ってきたとのことだった。
残りは取り留めもない会話をしているとあっという間に搭乗手続きの時刻となり、飛行機に乗り込んだ。
離陸後はつわりの心配もあったものの、事前に伝えると添乗員が丁寧に対応をしてくれたおかげで何とか乗り切ることができた。
ラウンジで待っていろとのことだったので3人緊張した面持ちで待っていると入口から急いだ様子で男性が走りこんできた。
何事かと注目していると目が合い嬉しそうにほほ笑んできた。
そう、あの青い瞳で。
「みう!るい!ななみ!」
「「Leon?!」」
三人のもとへやってくると全員巻き込むように抱きしめてきた。
「会いたかったです!会いたかった…!!!」
「ああ。俺も、会いたかった」
「僕も。」
「Leon…」
七海が頭を撫でてあげる。しばらくすると落ち着いたのか、顔をあげ少し距離を置く。
歓喜極まっていたからか瞳に溜まった涙をぬぐうと両手を広げた。
「ようこそ、おれのふるさと、Bundesrepublik Deutschlandへ!ゆっくりと楽しんでください!」
レオンの歓迎に一同拍手を送るとさっそく移動することとなった。
ドイツが世界に誇るメルセデス・ベンツがお迎えに上がりそのまま車はホテルへと向かった。
部屋もかなりいい部屋を用意してくれていたらしく、入ると何部屋も連なっていた。
「おれも一緒に泊まります。」
「ほんとか?!」
「はい!ほんとです!」
「嬉しいね。」
「おれもうれしいです!」
ふとレオンが首に下げているネックレスを取り出し見つめた。
「おれはいつも考えていました。また会いたいといつもねがっていました。おれはうれしいです。」
「「Leon…」」
ぎゅっとネックレスを握るとレオンは美羽の方を見つめる。
「みう、おれもテニスをしています。みうと試合をしたいと思った。だから今頑張っています。」
「Leon、俺…」
「試合をしましょう。水泳で?に?まけた時ちがう。おれは負けません。」
次に瑠唯を見つめた。
「るい、るいはとてもやさしい。おれはとても大好きです。きもちが休むまで?ドイツを楽しんでください。」
「Leon」
「るいのはなしをたくさんききたいです。おれのはなしもきいてください」
「うん。うん。」
瑠唯がぎゅっとレオンを抱きしめる。レオンも抱きしめ返し瑠唯の背中をさすってあげていた。
あのネズミーの時とは一緒のようで違う。レオンも成長したことを七海は感じ取っていた。
レオンのSPがお茶の準備を終えリビングへ入ってきた。
人の気配を感じた瑠唯がレオンから離れようとするもレオンは瑠唯をぎゅっと抱きしめる。
「お前らラブラブだな!」
「らぶらぶ…?」
「美羽!レオン、調べなくていいよ…」
双子とレオンが騒いでいるのをほほ笑みながら七海はお茶をいただいていた。
ふとレオンと目が合う。
「七海、あなたのはなしもあとからゆっくりききたいです。」
「…わかった。」
そう、七海は何も伝えていない。
ただ気持ちを休めるためではないことも、本来の理由も。




