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gentle love  作者: 朱希
模索編
27/33

vier

星屑が舞い降りて








そっと流れ込んでくる









君はきっと











光り輝いているから











gentle love











翌日、七海は産婦人科へ行った。

言われた言葉は笑顔で「おめでとうございます」

とてもとても重い言葉だった。

とぼとぼ歩く道のりがやけに長く、出るのはため息ばかり。

青空もどこか濁って見えた。







「私が、お母さん。香南さんが、お父さん。」








お腹をそっと撫でてみても実感はわかなかった。













「おかえり。」

「たっただいま、です。」

玄関を開け、香南が出てくるのを見て七海はああ、今日は早く帰ってくる日だったと思い出した。

ちゃんと笑えているかわからないまま香南の方へ笑顔を向ける。

香南もどこかまだ気を使っている様子だった。

「すいません。買い物に行っていたもので…」

七海が手に持っていた買い物バッグを香南に見せると「持っていく」と香南はその荷物を持ちダイニングの方へと向かった。

七海がダイニングへ入ると置いてあったのは以前七海が大絶賛したケーキ屋さんの箱だった。

「これ…」

「近く寄ったから買ったんだ。お茶も今入れるから待っててくれ。」

そっと中を開けると前見たのとは違うケーキが入っていた。

「一応新商品がいくつかあったから買ってきた。七海最初に選んでくれ。」

「ありがとう、ございます」

お茶を持ってくる香南を見ながらケーキを見る。

先ほどから感じていたが、いつもよりケーキの匂いが甘ったるく気持ち悪くなりそうだった。

あまり甘くなさそうなのを選び急いで皿に移す。

そしていつも入れる砂糖とミルクを入れないまま紅茶を喉に流し込んだ。

「今日は甘さ控えめなんだな。」

「あ、はい。」

いつもよりも落ち着かない無言状態で黙々とケーキを食べる。

七海はそっと香南の方を見る。

するとその視線に気づき香南が七海の方を見て微笑む。

「あ、あの…」

「どうした?」








私、妊娠したんです。









『七海、わるい。俺は自分の子供が欲しくない。』








ぎゅっと口を閉じた。









言えない。

言えるはずがない。










以前の意見を今の香南が覆すことなど程無いに等しい。

言ってしまったら、どうなるのだろうか。

目の前の香南を見ると綺麗な笑顔が浮かんでいた。









えがおがなくなるのはいやだ。

こどもをころすのもいやだ。











「なんでも、ないです」

七海はにっこりと笑った。













それから七海は妊娠しているのを誰にもばれないようにした。

いつか言わなければならないとわかってはいる。

しかし言えなかった。

双子たちもあれだけ楽しそうに話しながらご飯を食べていたのに、部活や学校の疲れからか黙々とそして別々に食べるようになっていた。

そんな彼らにも迷惑はかけられない。

七海は必死に隠していた。

しかしさすがにわかるのか美羽も瑠唯もそれとなく尋ねてきた。

「ななちゃんどっか具合でもわりーの?」

「え?」

美羽が帰ってきてにおいをかがないよう細心の注意をしながらご飯の準備をしてあげ机に出してあげる。

「いや、そんなことはないけど…」

「なんか顔色わりいし…また変なダイエットとかやめてくれよ。」

「ほんと何でもないから。大丈夫よ。」

昔無理なダイエットをして倒れたことを思い出しているのか美羽が笑いながら言った。

そして瑠唯のことを少し話した後美羽は部屋へ戻っていった。

リビングのドアが閉まると七海はそっとため息をついた。

今の七海には不安だけが積もり積もっていた。
















翌日の夕方、久しぶりに双子が一緒に帰ってきた。

「おかえりなさい。早かったのね。」

「ただいま!ちょっと今日は早めに帰る日だった。」

「ただい、ま」

ニコニコ笑う美羽にぎこちない笑顔の瑠唯。

どこか、なにか、とてつもなく違和感を覚えた。

「はらへったー!ななちゃん今日ご飯何?」

「今日はね、冷しゃぶにしてみました。」

「おいし、そうだね」

「よっしゃ!俺先に風呂はいろっと」

「ななちゃん、僕、手伝う、ね?」

「大丈夫。ゆっくりしてなさい。久々に美羽と一緒にいるんだから。」

「う、うん。」

それから風呂に入って双子と久々に三人でご飯を食べた。

美羽はいつも以上に嬉しそうに、瑠唯もいつも以上に顔を綻ばせ楽しく話をしながら食べていた。

まるで少し前の幸せな頃に戻ったみたいで七海も嬉しかった。

「やべー俺らもうちょっとでななちゃんの身長こすじゃん。」

「ほんとね。」

「牛乳、いっぱい、のんだ、から?」

「ふふっかもね。」

双子たちは七海の頭をなでたりとどこかいつもよりも七海にべったりくっついていた。

ホワイトボードの記入を終えた後双子たちは早々に部屋に戻るようだった。

「じゃあななちゃんおやすみー!」

「おやす、み」

双子たちはぎゅっと七海を抱きしめた。

「もう、どうしたのよ。おやすみ、二人とも。」

へへっと照れたような二人はもう一度おやすみと言うとドアの方へ向かって行った。









待って、









七海はここで二人を送ったら二度と戻ってこないような胸騒ぎを感じた。









私を一人にしないで。











「置いて行かないで!!!!」











咄嗟に出た言葉にそして瞳から流れ出るものに七海自身ただただ驚くばかりだった。

お待たせしました

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