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gentle love  作者: 朱希
模索編
26/33

drei

運命は






残酷にも







僕らを







闇へと翻弄していく









gentle love










「はあ?!いらない?!」

信じられないといった顔をした琴乃が口をあんぐりと開けている。

その顔が面白くて七海はクスリと笑ってしまい琴乃に睨まれた。

「待って、七海のこと好きなんだよね?そんな人との子供普通は欲しいと思わないの?」

またもやお茶と言う女子会の中前回七海が香南に言われたことを琴乃に話していた。

「うーん、どうなんだろう?」

はは、と七海は空笑いをするだけだった。

「香南さんも、辛いことを乗り越えてきたのはわかってるから無理には言えないし、ましてや無理に作って良いものではないでしょ?」

琴乃は知っている。七海がこの笑い方をするときは何かを無理して納得した後であるということを。

「けど、カナンと今はどうなの?七海納得してないんでしょ?」

一瞬七海の口がぎゅっと閉じられる。

そう、あれから二人の様子はよそよそしいものとなった。

どこかお互いに触れたらいけないものを持っている、相手の様子を覗っているそんな状態であった。

「このままじゃいけないのはわかってるの、けどね。」







七海も香南の気持ちがわからないでもない。

あれだけ辛そうな顔をしながら吐き出すように述べてくれた彼の幼少時代。

どれほど耐えてきたのだろうか

どれほど勇気が必要だっただろうか

その気持ちがある分、この問題は解決しない。

いくら七海と双子たちが”家族”としての愛情をあげていたとしても香南自身の過去への怨念は消えないのだ。






彼がそれを消そうとしない限り








七海は首を振ると琴乃の方に笑顔を向けた。

「もうちょっと時間がかかるかも。」

少しでいい。少しでいいから踏み出してほしい。

その為にはまだまだ時間がかかると思っていたのだった。









「美羽ねっ今日も、すっごくかっこよかったの。ボレーを練習してね、ラインぎりぎりに、打ってて…」

「へえ、凄いなあ。」

今日は美羽が部活で夜遅く、香南も夜中まで仕事と言うことで七海と瑠唯の二人っきりの夕食となった。

二人で一緒に作った夜ご飯をゆっくりとした時間が流れる中食べる。

最近瑠唯は美羽の練習を毎日観に行っているのかその様子を七海に話すようになった。

しかし七海は調子が悪く元気に振る舞ってはいるが瑠唯の話を聞けるほどの集中力がなかった。香南について悩んでいたのが悪かったのか、夏になる前のへんな季節に風邪をひいてしまったようで体がひどくだるかった。

七海の空返事に気付いたのか、瑠唯が心配そうに七海を見つめる。

「ななちゃん、どうしたの?」

「へ?ああ、なんかちょっと疲れちゃったみたい。」

瑠唯は急いで体温計を持ってくる。七海が無理をすることを幼いころから知っている双子たちは特に七海の体調に敏感なのであった。

熱を測ってみると微熱があった。

「ごっご飯食べたらっ僕洗い物するから、すぐにベッド入って!お弁当も、僕がっ作るからっ!」

「大丈夫よ。微熱だもの。そんな心配しなくても、いつものことよ。」





だってもうすぐ…





そこで七海ははっとした。

とても大事な、肝心なことを忘れていたのではないだろうか。

「なな、ちゃん?」

「う、ううん!なんでもないの!本当に大丈夫だから。」

「けど、今日はっゆっくり、休んで!お願いっ!」

「わかった。じゃあ今日はお願いしてもいいかな?」

「うん!まか、せて!」

ご飯を食べれるだけ食べると洗い物をする瑠唯を残して寝室へと向かう。

しかしすぐにベッドにもぐるわけではない。

向かった先はスケジュール帳の置いてある机であった。

明かりをつけ先月のページを開く。

そこには先月の月ものが来た日にちにマークがついていた。

そして今日の日付を確認をするとその日から一か月以上経っていた。

経っていたどころか一週間もずれていた。

七海はいたって健康で月ものがずれるということはほとんどない。

「そんなこと、」

七海の考えていることはとてつもなく可能性の低いものであった。

なぜならそれを回避するために香南が必ず対策を行っているのだから。

七海は数回深呼吸をする。そうでもしないとやっていられない。

「せ、せっかく瑠唯がお手伝いしてくれてるし、ね、寝ないとね。」

しかし目がさえてまったく眠くならない。

美羽の帰ってくる物音が聞こえ、とうとう香南の寝室へ入ってくる音がした。

香南は寝たふりをした七海のおでこに手をあてた。

七海はそのままじっとしていると今度はさらに柔らかな感触が七海のおでこに贈られた。

「ごめん、な。」

香南は七海の耳元でささやくとベッドに潜り込んだ。

七海は目を開けるとぎゅっとシーツを握る。







ごめん、じゃないんです。

もしかすると、いや、もしかしなくとも…







翌日七海は薬局へ向かった。

目的の物を手に入れると急ぐ心を抑えきれず走って家へ帰る。

トイレで諸作業を行い一、二分待つ。

その時間が七海にはひどく長く感じた。

目を開くとそこには結果があった。






妊娠検査薬の色は濃い赤紫色、つまりかなり可能性の高い陽性を示している。






七海の検査薬を持つ手が震える。






そう、七海は妊娠していたのだった。

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