prologue
またよろしくお願いします。
双子ちゃんが小学4年生のお話です。
さあ行こうか
夢の国へ
gentle love
今日もanfangの朝は早い。PV撮影のために朝6時起きで出勤である。
雅の迎えの車に乗り込んだ夏流と周が見たのは懐かしい光景だった。
「うわあ…香南どうしたの?その高校の時のパターン…」
見たのは目を閉じながらイヤホンで何かを聞きながらぶつぶつ呟いている香南だった。
そう、香南は高校の時夏流と出会う前や出会った後も自習の時間などは何かを聞きながら日本語ではない本を読んでいたのだ。
日本語以外堪能ではない夏流は見てもなに語の本か全く分からず香南に尋ねても「別に」と言われるだけだった。
その光景は音楽活動に専念していくうちに見られなくなったがまさか時を経てみることになるとは思ってもみなかった。
夏流の声に気付いたのか香南はイヤホンを取って夏流の方を向く。
「おはよう」
「おはよう。香南くん懐かしいね、その姿。どうしたんだい?」
「ああ…」
気づいたように自分の持っていた本を持ち上げる。
「英会話ブック。」
「「英会話ブック??」」
どうして?という様に二人は首をかしげる。
その光景に雅はくすくす笑う。
「夏流、周、この間話しただろう?今年の夏の長期休暇の事。」
「うん。」
「今年の七海への誕生日プレゼント、旅行にしたんだよ。」
「へ?」
「アメリカのネズミーワールド行くことにした。」
「えええええ?!」
夏流が驚くのも無理はない。
休日を言われたのは昨日だったからだ。
「い、いつから決めてたの…?」
「前から思ってたんだよ。んで結構長い休暇もらえるっつーから行ってみるかって。」
「香南張り切ってるんだよ。な?」
雅がニヤニヤしながら香南に言うと香南は顔を真っ赤にしてイヤホンを再び耳に付け本を読み始めた。
「クスッ。ちゃんと泊まる場所とか確保できたのかな?」
「ああ、それは俺が責任を持って良いところを用意したよ。折角だしね。協力させてもらった。」
「さっすが雅さん!」
ヒュ~と夏流が口笛を吹く。
それから燎が乗ってきて夏流と同じ行動をされ再びからかわれることになる香南だった。
日向家は英会話練習で大忙しだった。
「I'm Nanami Himukai」
「I'm みうひむかい!」
「あ、I'm るいひむかい」
「うんうん上手!」
アメリカに行くことが決まったのはつい昨日のこと。
夜帰ってきた香南が告げた言葉が始まりだった。
「行くぞ。アメリカ。」
「へ?!」
「「???」」
3人とも口をポカーンと開けて呆然としている。
「長期休暇をもらえた。ネズミーワールド行くぞ。」
「えっほ、ほんと…ですか…?」
「「ねずみーわーるど?」」
一人察した七海が目を見開き香南に尋ねる。
「ああ。ななへの誕生日プレゼント。皆で楽しもうな。」
「ほ、ほんとに?」
「駄目か…?」
七海は首をぶんぶん横に振る。そして香南を抱きしめる。
「ありがとうございますっ!!私、幸せです!!!」
「ねーねずみーわーるどって??」
「わーるどって??」
双子が頬を膨らませながら言うのに慌てて説明したのだった。
そこで問題になったのが英語力。
七海も学校で学んだことはあるが他の場所で学んだことはない。ましてや双子なんてテレビで聞いたことあるぐらいである。
そこで折角と言うことで3人とも英会話を学びに行くことにしたのである。
七海はお昼の時間、双子は週二日学校の帰りにそれぞれ通いに行くことになった。
また夜は家で少し時間を設けて小学生向けの英語教育DVDを見たり少しでも英語に触れる時間を増やすことにした。
「えっと、香南さんは英語…」
七海は少しではあるが何度か香南の英語を聞いたことがあった。その英語はとても流暢でどこで学んだのだろうと言うほどしっかりしていた。
「ああ。昔ちょっと勉強した。けど忘れてるだろうし、俺も一緒に勉強してもいいか?」
「にーちゃんも勉強すんの?」
「い、一緒に?」
「駄目か?」
3人は一斉に首を横に振り笑顔で答える。
「一緒に頑張りましょう!」
「「にーちゃがんばろう!!」」
香南が夜帰るとその日学んだ英語を香南に披露する。
そしてちょっとした質問を香南が皆にするのである。
一生懸命考えてはわからない単語を辞書で引き答える。その一生懸命さに香南は頭を撫でる。
双子が寝た後の七海との会話はたまに英語で会話するようになった。
そうして日向家の英語力は少しずつ上達していき気づけば前日となっていた。
「いい、もし迷子になったらどうするの?」
「キャストの人にExcuse me,I was lost.Please help meっていう!」
「えと、この首飾りのお守り中身を見せる!」
「That's right」
万が一に備え、迷子になった時の対処の確認をしていた。日本にあるネズミーよりも何倍も大きいのだ。しかも言語が通じない可能性が高い。そうなった時のために迷子になったことを自分で言えるようにさせ、自分がどういう人物で迷子として双子を拾った場合の連絡先をお守りに書いておいた。
香南も仕事が終わると急いで帰ってきて支度をすませる。
「よし、これであとは寝るだけですね。」
「明日はネズミー!」
「美羽、違う!明日は移動の日!」
「あ、そっか。」
「空港に行くからな。飛行機いっぱい見れるぞ。」
「やっり~!飛行機!」
「僕も、楽しみ!」
飛行機に乗ったことがないと言う双子にとってこれが初めてのフライトである。
男の子なら誰しも憧れる飛行機に二人の興奮は止まらない。
「はーい。だから今日はちゃんと寝ようね。明日早いんだから。」
「「はーい」」
双子が寝ると香南と七海もそうそうに寝ることにした。
明日は朝早くから起きて空港へ出発である。
「香南さん。」
「ん…?」
「本当にありがとうございます。その、いっぱい楽しみましょうね。」
「ああ。」
それぞれに楽しみを浮かべながら寝静まる。
まさかあんな出会いがあるとはだれも思っていなかった。
おそらくまたもや登場人物書くと思います。