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gentle love  作者: 朱希
閑話
19/33

飛べない鳥のように

ぼくのりょうては







きみたちのために









gentle love










『みう、るい!』

インターネット回線を使ったテレビ電話の向こう、そこではレオンがにこやかに笑っていた。

俺や瑠唯、またレオンは毎日のようにメール交換をしていたが、インターネットがさらに便利になり音声会話もできるようになった頃、お互いにwebカメラを購入し月に一度テレビ電話をするようになった。

もちろん時差の関係もあり、お互いに大丈夫な時間を決めてである。

俺たちもうれしそうに声をかける。

「Leon~!元気?」

『はい!おれは元気!』

なんとレオンはあの旅行以来本当に日本語を練習しているらしく、パソコンにも日本語機能を搭載させて俺たちに日本語でメールをするようになった。

代わりに俺たちは頑張って英語で返す日々である。しかし、レオンの学習能力は長けているらしく、だいぶ自然な日本語を話すようになってきた。

「お母さんはいない?電話をしても大丈夫?」

『今いない。だから電話をしても大丈夫!』

安心させるようにレオンは笑顔で説明をしてくれた。

レオンのお母さんはなんでか知らないが、日本を嫌っていて、レオンになるべく日本を触れさせたくなかったらしい。しかし天邪鬼というかレオンは日本のことを知りたいと思ってて俺たちと出会った。そしてあの手この手で仲良くなったのだが、今では母親の目を盗んでテレビ電話をしてしまっている。

本当に大丈夫なのか?などと思いながらも楽しくてついつい会話が弾む。

『昨日、サッカー見ましたか?』

「あ?昨日?」

『ドイツは勝ちました!yahoooo!』

独りでテンションが上がっているのはいいが、こちらでは全く放送されていない。

瑠唯が説明をしてくれる。

「Leon、昨日のサッカーは日本では放送されていない。」

『?何?』

瑠唯だけには任せられないと俺も説明に入る。

「だーから、昨日のサッカー、ヨーロッパの国だけ?」

『はい、ヨーロッパの国だけ!』

「日本は出てる?」

『出ていません。あ、だから、日本で見られませんか?』

「そう、We can not watch German soccer.」

『あ~』

「けど、ドイツは勝ったんだな。」

『はい!勝った!』

嬉しそうにサッカーのことを話してくれたあと突然思い出したかのようにレオンが話を変える。

『みうとるいは中学生になった?』

「うん、そうだよ。」

「日本は4月に入学するんだ。」

『入学、ah,ja入学、そうですね。おめでとうございます』

「ありがとう」

「ありがとな」

『へへ。みうはテニスを始めたと聞きました。』

そういえば前回のメールでテニス部に入ったからメールができない日があるかもしれないということを書いたなと思いだす。

「そうそう。So there are days that I can't send you e-mail.」

『Ah Don't worry about it.部活、ですね。AH…みうの話を聞いて俺もテニスを学ぶじゅんびはじめた…?』

「「…え?」」

レオンの発言に俺と瑠唯は驚いた。

『みうの話を聞いて、テニスをみうとしたいと思った。だからテニスを始めた。』

「まじで?」

『まじ…で?』

言葉の意味が分からなかったのだろう。繰り返しレオンが言った。

「あーえっと本当?」

『ほんとうほんとう!ちいさいころテニスをしていたけれど、今していなかった。だからもういちどテニスを始めた。』

「Leonもテニスするんだ…」

瑠唯が少し悲しそうに話す。するとレオンはひらめいたと指ならしをする。

『るいはおれとみうのてつだい?したらいい!』

「あーつまりマネージャーってこと?」

『まねー…じゃー?』

また知らない単語だったのかレオンは不思議がって近くにあった日本語辞典を引いていた。

「えー英語じゃなかったか?」

「発音が、違うんだよ。maneger…けどこれ英語で通じるの、かな?」

『maneger?Ah~…』

それから真剣に探すものだからしばらく待つ。すると引けたのか嬉しそうにこちらを向いてうなづいていた。

『ja!まね、じゃー?るいはまねじゃー!』

「ぼくが?」

「それいいな。」

「む、無理だよ!僕は頭使うことしか、できないし…」

恥ずかしそうに瑠唯がうつむくのを見てレオンが悲しそうな顔をする。

『るいはかしこいでしょ?るいがAhおれたちがどううごけばいい?どうはしればいい?きめたらかならずかてる』

「だな。俺たちの作戦立ててくれたらいいよ!」

しかし瑠唯は頑なに首を縦に振ろうとはしなかった。

「僕は、見てるだけで十分。二人の試合、早くみたい、な。その時はお弁当や、スポーツドリンクつくるよ」

その言葉にレオンも残念がる。

『ざんねん。あーあ、おれふられたことないのにな~』

「えっレオン彼女いんのか!?」

レオンの爆弾発言に俺と瑠唯は驚く。

『non,いない。けど…』

レオンは少しだけ考えるように遠くを向いて目をつむり息を吐いていた。

『おれは、二人に早く会いたい。』

レオンの笑顔はどこか儚くとても寂しそうだった。









「でさ~レオンもテニス始めるんだって。」

にーちゃんがオフの日、俺たち家族はテニス用品を買いに来ていた。

なかなか会えないにーちゃんに俺たちは思い出したかのようにレオンとの会話を話す。

「へえ…」

「レオンくんもテニスできるの?」

「幼いころにしていたって、言ってたよ。」

「あらあ…さすがね」

ななちゃんも苦笑しながら一緒に会話に混ざっていた。

「んで、一緒にテニスしたいって言ってた。で瑠唯にマネージャーして~って」

「あら、いいじゃない。」

ななちゃんがうれしそうに瑠唯のほうを向くが瑠唯は首を横に振るだけだった。

「僕、はみんなを応援しているほうがずっと、いい。」

「瑠唯…」

にーちゃんも少しだけ悲しそうに瑠唯のほうを見た。

「Leonと美羽が試合するときに、僕はお弁当と、スポーツドリンクを作るんだ。それがすごく楽しみなんだ。」

「瑠唯は料理上手になってきたもんね。お婿に出しても申し分なし!」

「お婿になんかぜってえ出さねえからな。」

ななちゃんが言った冗談ににーちゃんは本気で答える。

それに俺と瑠唯とななちゃんは苦笑するしかない。

「けれど、レオン君に会えるといいね。」

「「うん!」」

元気よく頷くがそれが難しいことを俺たちは理解していた。

レオンが日本に来れないならば俺たちがドイツに行けばいいという案も浮かび上がる。

しかしそれができない理由がある。それが俺たちのことを愛してくれているにーちゃんだ。

にーちゃんはレオンのことは認めているが、ドイツには何かとても嫌な思い出があるようなのだ。

そしてその理由をななちゃんも知っているのかドイツに行こうという案は一度も出たことがない。

以前アメリカへ旅行した時確かににーちゃんはドイツ語を話していたのに、何の理由があるのだろうか。

俺らは愛されているけれど、守られているだけで何も知らない。

そんな自分たちが許せないけれど悲しい顔を見るのはもっといやだ。

だから知らないふりをしてただ見ているだけしかできない。

しかし、それはきっといつかふりをしていられなくなる時がやってくる。ただそれを待つしかない。






その時俺たちはどう反応できるかわからないけれど、それでもきっとこれだけは変わらないと思う。






それは俺たちはにーちゃんのことをずっと大好きで、家族だということ。

ということでアメリカ編全部終わらせてから書きたいと思っていた話です。

レオンとの交流はこうしてずっと続けられています。




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ご協力よろしくお願いします。



また、お気に入り登録、拍手ありがとうございます。

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