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gentle love  作者: 朱希
閑話
17/33

一番になりたい!

章を作りました。

こちらの章では美羽の青春話を書いていきたいと思います。

止まらない疾走







躍動







もっと






もっと









lucid love 一番になりたい!











俺たちは小学校を卒業し、そのまま一番近くの中学に入ることとなった。

新しい校舎、制服と言う決められた服装、難しくなった教科書。

全てが心を躍らせる要因となっていた。

入学式に参加するため一緒に来てくれたななちゃんと別れ自分たちの別々のクラスへと向かっていた。

くだらない会話をしながら進んでいが、双子の弟である瑠唯の顔色は徐々に悪くなっていた。




「瑠唯大丈夫か?」

「え?大丈夫、だよ」




にっこりと笑っていたがいつものような優しい笑顔ではなかった。

手も心なしか震えているようで俺は唇をかみしめた。

しかし教室に着くのはあっという間で瑠唯とわかれることとなった。






「瑠唯、今日俺ちょっと用事があるから先にななちゃんと帰っててくれねえか?」

「え?」

瑠唯の顔がさらに不安げになる。

俺は安心させるように手をぎゅっと握った。

「大丈夫!昼までには帰るし。そしたら前言ってた図書館まで行こうぜ。」

瑠唯の大好きな図書館が先日近くに出来た。

俺は好きではないけれど、こんな寂しい顔をされたら何でもしてやりたくなる。

「だから、頑張ろう。」

「う、ん…ありが、とう。」

瑠唯は安心したように手を握りなおしてくれた。





「はあ…」

自分の教室の目の前につくとため息が出た。

しかしずっとそのままでいてもしょうがない。

俺は大きく深呼吸をし教室の戸を開ける。

するといっせいにクラスメイトが自分の方を向く。

そしてあの噂話を聞かされるのだ。







『あの子が有名人の弟の片割れっていわれてる子』

『かっこいいじゃん!』

『その有名人って誰なんだよ』

『それがあのanfangのカナンらしい』

『まじかよ…』

『かっこいいけど系統が違う気がする…』







ある程度予測していたが、前の小学生の子達が違う学校から来た子達に少しでも仲良くなれるための話題として出しているのか思っていた以上に広がっていた。

人とはどうしてこんなに赤の他人のことが気になるのだろうか。

俺はこっそりため息をつくとにっこりと笑う。

「はじめまして。俺、日向美羽。よろしくな。」










そう、これが俺の強くなりたい理由。









自分に兄が出来て約7年。兄は自分にとって兄弟であり、親のようなものだった。

兄は自分たちをとても可愛がってくれていたし、事実、ななちゃんの次に俺たちを愛してくれていた。

そして姉であるななちゃんがムチなら兄はアメだとはっきり断言できるほど俺たちに甘かった。

そんな兄を学校の行事に呼んだのは俺と瑠唯。

大好きな大好きな兄に自分たちの頑張りを見てほしかったのだ。

俺たちに甘い兄はすぐに了承してくれた。そして兄だけでなく兄の組んでるバンドの兄ちゃんも来てくれることになった。

もちろん俺たちは喜んだ。大好きな兄、大好きなバンドの兄ちゃん達も来てくれるのだ。

運動会は思った通り楽しいものとなった。

自分たちのわがままで兄はたくさん動かなければならなかったがそれでも楽しそうにしていたのをみて本当に来てもらってよかったと思っていた。

それからも兄やバンドの兄ちゃん達は学校行事に来てくれていた。

しかし、いいことばかりではないのだ。

何せ兄たちはは売れっ子バンド。知らない人のほうが少ないのだ。

徐々に噂が広まり、友達にもいろいろ聞かれるようになった。

俺はまだあしらう能力があるからいいだろう。

しかし、弟の瑠唯はそうも行かなかった。

あしらうことも嘘をつくこともできない瑠唯はただ黙るだけ。

そうなると周りは離れていき、とうとう一人でいることの方が多くなった。

悔しかった。瑠唯は頭が良くて、俺なんかよりも友達思いで、優しい子なんだ。

それが何でこんなことにならなければならない。

別に兄を責めているわけではない。自業自得なのだから。

しかしなんとか、みなに瑠唯のよさを知ってもらいたい。

ない頭をひねって考え出した方法、それは噂を他へ向けさせることだった。

そしてその対象に出来うる人物は実際に生でみることのできる瑠唯に親しい人物、つまり自分だけしかいないと思った。

自分が中学の中で有名になれば実際に見ることができる人物の噂となる。

そしてその噂はもちろん真実ばかりだ。変な噂は自分で排除することが出来る。

すると瑠唯がyes、noをださずとも大丈夫と言うわけだ。

何より人気になれば知り合いがたくさん増える、もしかしたら瑠唯をちゃんと見てくれる人が現れるかもしれない。








入学式が終わり、先生の説明が終わり、早々に帰ることとなった。

挨拶を済ませると自分に話しかけようとする人が向かってきた。

しかし俺はそれらを無視しすぐさま職員室へ向かう。

有名になれるとしたら自分が唯一得意な運動で勝負するしかない。

手に汗が滲む。呼吸が早くなる。








どうしてだろう、不安以上にこれからへの楽しみのほうが大きい。

なにができるんだろう、何を極められるんだろう。







ドアを開け、俺は大声を出した。









「先生!一番強い運動部教えてください!俺、一番になりたいんだ!」









そこから俺のテニス生活は始まる。

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