fourth day-3-
そして僕は受け入れるだろう
君という悲しい存在
美しい灯
gentle love
抱きしめられたレオンはどうしたらいいのかわからず硬直していた。
初めて触れた香南のぬくもりは冷たくて、しかしとても温かかった。
「You push Louis,Don't you?」
香南が睨みながら相手の子供に問いかける。
睨まれた子供はたじろぎ始める。まさかこんなに大事になるとは思っていなかったようだ。
子供が黙っていると今度はその子供の親が出てきた。
香南が説明することを促すようにレオンを見つめた。
レオンははっとすると先ほどの状況を詳しく説明した。最初の方は子供の話だからと信じていなかったが、レオンが近くにある監視カメラを見せてもらえば真実がすぐにわかる、と言い始めたころから顔色が変わってくる。
徐々に立場が悪くなる相手の子供。とうとう自分たちがやったことを泣きながら白状した。
なかなか前に進まない瑠唯をどうしかしたかった。しかし相手はアジア人。英語が通じると思っていなかったのだ。
相手の親もその説明に顔面蒼白。最悪の場合国際問題になりかねない。
「I'm sorry」
相手の親がすぐにレオンに謝ってきた。そして子供にも謝らせようとするがレオンは納得していなかった。
「You are mistaken in the person who apologizes. 」
謝る相手が違うと指摘し瑠唯の方を見る。
子供は泣きながら謝りに行く。瑠唯は驚いて涙が引いていた。
再び香南の方を向き親が謝ると去っていき人だかりも徐々になくなって行った。
「…瑠唯大丈夫か?」
人だかりが無くなったところで香南は瑠唯の方へ行く。すると瑠唯は嬉しそうにうなずいた。
「にーちゃん、ありがとう」
そして瑠唯はレオンの方にも向かう。
「Leon,Thank you.Thank you very much」
「You're welcome.」
レオンは照れくさそうに頭を掻きながら返事を返した。
そして香南をちらりと見る。何やらいいたそうな顔をしていた。
そしてその視線に気づくように香南はレオンを見る。
一呼吸置くと香南はレオンの話し始めた。
「Leon,Are you OK?」
レオンも緊張した面持ちで深呼吸したのち返事を返す。
「I'm fine.」
「That's good.」
香南が少し微笑むとレオンも緊張がほぐれたように微笑んだ。
「「やったー!!」」
双子が嬉しそうに顔を見合わせるとレオンと香南の元へ走り出す。
「お前ら…」
「Good!」
「GoodGood!」
レオンと香南を囲む様に抱きしめる。
香南はどうしたらいいか助けを求めるために七海の方を見た。
しかし七海を見て驚いた。
「な、七海…?」
そこには涙を流す七海の姿があった。
「どうした?」
香南が七海の傍へ駆け寄ると七海は必死に涙をぬぐった。
「嬉しくて…」
「え?」
「香南さんがレオンくんと話してくれたことが嬉しくて…」
優しい雫が七海の目からこぼれおちる。
あの雫を自分のために流してくれることに対し驚くとともに照れくささを感じた。
七海も七海で理解できないほどの涙があふれていた。
嬉しくて、いつの間にか泣いていた。
良かった。本当に良かった。
香南を抱きしめてもなお涙が止まらなかった。
レオンがどうして七海が泣いているのか不安そうに見ていると双子が一生懸命説明し始めた。
「んーと!She is happy!Leon become freiendly with Kanan!」
「Friendly with Kanan!」
「…」
レオンは黙って下を向きどうしたのかと双子が顔を覗き込むと照れていた。
双子は顔を見合わせ笑い合った。
それに気づいたレオンはさらに顔を真っ赤にし二人を抱きしめた。
それから香南とレオンはほとんど話さなかった。
しかしレオンが浮き輪から落ちそうになるとすぐに香南は後ろから支えていた。
香南はもとの位置に戻すと何も言わず離れていたがレオンが照れたように小さな声でお礼を言っていた。
その光景を見て七海は嬉しくなって思わずひとりでに笑っていた。
気づいたら夕方、風邪をひいたら困ると早々に帰ることとなった。
夜ご飯も一緒に食べることにし、ホテルにあるレストランへ行くことにした。
食べる人たちは同じなのに朝とは空気が全く違っていた。
楽しそうに日本語で話す双子たちに、一生懸命話の内容を聞こうとするレオン。
それに必死に双子が英語に訳そうとするがまだまだ未熟なため訳すことができない。
微笑みながら七海がそれを英語に訳していた。
メインディッシュも食べ終え最後にデザートを食べていた頃、レオンが思い出したように話し始めた。
「Nanami,When will you go back Japan?」
そう、楽しい時間には終わりがある。
ここでの楽しい日々は残り一日となり明後日には日本に帰らなければならなかった。
「We will go back day after tomorrow.When Will you go back German?」
レオンは驚いた様子だったが嬉しそうに返事を返した。
「Me too.」
「Really?!」
後ろにいたSPに確認を取るとにっこりと笑顔をもらった。
顔を前に戻すとレオンが笑顔で明日も遊ぼうと提案する。
双子も嬉しそうに返事をし香南も文句を言わず双子に微笑みを返す。
レオンはそれにさらにテンションが上がったのかまだ遊ぼうと双子を誘う。
しかしもうシャワーを浴びて寝なければ明日へ支障をきたしかねない。
「Leon,If you want to play tomorrow,You go to shower room.」
七海が説得するとレオンは少し悲しそうにした。
「あっLeon!Let's go to bed together!」
「Yes!Yes!」
双子がフォローをするとレオンは頷きSPに七海たちの部屋で寝ると嬉しそうに話し始めていた。
「…あいつ、本当に双子の事大好きだな…」
「ふふっ妬けますか?」
どこか寂しそうな声に七海は微笑んでしまう。
「そう言うわけじゃねえけど…」
照れながらも先に部屋に戻ろうとする香南についていく七海。
それから順番にシャワーを浴びているとレオンが早々に現れた。
急いでシャワーを浴びたらしい。
はしゃいでいるのもつかの間やはり疲れが出てきたのか徐々に3人の会話のペースが落ちてくる。
3人を双子たちが使っていたベッドルームへ連れて行くとすぐさま寝息が聞こえてきた。
メインルームへ戻ると香南が背伸びをしていた。
「俺たちも寝るか。」
「…はいっ!」
手をつなぎベッドルームへ入って行く。
「明日、最後ですね。」
「そうだな。」
「シンデレラのお城、日本と違いますかね?」
「どうだろうな…」
「…香南さん、」
「どうした?」
「おやすみなさい」
「…ああ、おやすみ」
夢の国も残り一日。
それぞれの思いを胸に4日目は過ぎて行った。
4日目終了です!
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