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第1話 冥界追放!?となりの死神くん

 ここは冥界。

 暗くて、広くて、なんだかいつもヒンヤリしている世界――

 のはずだった。


「わああああっ! 落ちる落ちる!!」


 逆さまにひっくり返った塔のてっぺんから、

 一人の死神の子供が、ぶら下がっていた。


「ちょっとバロン! またそんなところで何してるの!」


 下から叫んだのは、黒いローブを着た死神。

 バロンの父親だ。


「だってさー、ここ、スリルあって楽しいんだもん!」

「冥界でスリルを求めるな!!」


 次の瞬間――


 ドサッ!!


「いったぁぁ……」


 バロンは、見事に着地……せず、顔から転んだ。


「……ほらな」

 父親は、静かに頭を抱えた。


 そこへ、ドン!と足音を立てて現れたのが、

 冥界の王だった。


「またおまえか、バロン!」

「えー? 今日はまだ三回目だよ?」

「三回もやるな!!」


 王の怒鳴り声に、冥界がブルブル震える。


「よいか、バロン。おまえは力はある。だが――」

「だが?」

「落ち着きがなさすぎる!!」


 バロンは、ぷいっとそっぽを向いた。


「えー、そんなの生まれつきだしー」


 その瞬間。


「決めた」


 王は、ズバッと言った。


「おまえは――人間界行きだ」


「……え?」


 バロンは、きょとんとした。


「人間界で、一人前の死神になるまで、冥界には戻れん」

「ちょっと待って! 聞いてないし!」


「もちろん、監視役付きだ」


 そう言って現れたのは、

 背が高く、顔がこわくて、いかにも厳しそうな男。


「……私が監視する」


「うわ、こわっ!」


 ――と思った次の瞬間。


「……あ」

 ズルッ!


 男は床の段差につまずき、変なポーズで止まった。


「……今のは、不可抗力だ」

「絶対ウソでしょ!」


 バロンは大笑いした。


 *


 次に目を開けたとき――

 二人は、人間界の古い洋館の前に立っていた。


「ここが住む場所だ」

「えー、でっか! なんか出そう!」


 ドアを開けると――


 ギギギ……


 勝手に伸びる廊下。

 動く階段。

 しゃべりそうなドアノブ。


「……ちょっと楽しいかも」


 そのとき。


「ねえ! きみたち!」


 となりの家から、元気な子供が走ってきた。


「ここに住むの? ぼく、となりの神谷 浩太!」


 バロンは一瞬だけ、監視役を見る。


「人間の名前を使え」

「ちぇー……」


 バロンは胸を張って言った。


「オレは、四宮 礼!」


 こうして――

 冥界から来た、生意気でちょっとドジな死神の子供

 バロンの、人間界生活が始まったのだった。

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