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空に立つ翼 ― 天翼族の少女は殴り倒す ―  作者: てん


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52/58

第52話 継ぎ目の向こう側

 空気が、重い。


 肺に入る感触が、これまでと違った。

 吸える。

 生きられる。

 だが、馴染まない。


「……匂いが、変」


 リィアが、鼻をひくつかせる。


「魔力じゃないわ」


 セリスが、慎重に言う。


「でも、何かが混じってる」


 足元は、黒い大地。

 岩にも土にも見えるが、どこか柔らかい。


 遠くの空は、二重。

 一つは青。

 もう一つは、深い紫。


《ステータス・オーバールック》

世界:未登録

重力:安定(地上比0.98)

魔力:低〜中(不均一)

干渉反応:未知



「……世界の外、だね」


 アリエスは、素直に笑った。


「いい感じ」


 歩き出してすぐ、違和感が来た。


 音が、遅れる。

 影が、ズレる。


「時間、少しずれてる」


 カイが、即座に判断する。


「因果が、固定されてない」


「つまり?」


 レオンが、短く聞く。


「殴った結果が、すぐ返ってこない」


 アリエスは、少し楽しそうだ。


「遅延あり、か」


 拳を、軽く鳴らす。


「……面白い」


 低い丘を越えた時、

 影が、立ち上がった。


 人型。

 だが、輪郭が定まらない。


敵:エコー・ウォーカー

Lv:測定不能

特性:

・行動遅延反映

・実体不定



「……測れない」


 ミラが、距離を取る。


「まず、触ってみる」


 アリエスが、前に出た。


 ――ドンッ。


 拳が、すり抜ける。


「……あ」


 一拍遅れて、

 衝撃が“戻ってきた”。


 ――ガンッ!


 敵の輪郭が、揺れる。


「遅れて効く!」


「因果遅延!」


 カイが、即座に修正する。


「連続攻撃で、存在を固定!」


「了解!」


 レオンが、重い一撃を叩き込む。


 ――ゴンッ。


 少し遅れて、

 敵が沈む。


 リィアが、間髪入れず追撃。


 ――ガッ!


 ミラの刃が、影を縫い止める。


 セリスの魔法が、

 遅延を上書き。


 ――パァン。


 敵が、霧のように崩れた。


撃破(不完全)



 光は、弱い。


《経験値獲得(補正)》

アリエス:Lv39 → Lv40

STR:326 → 332

レオン:Lv54 → Lv55

VIT微増

セリス:Lv52 → Lv53

INT微増

ミラ:Lv49 → Lv50

DEX微増

リィア:Lv49 → Lv50

STR微増

エルナ:Lv50 → Lv51

回復遅延耐性

カイ:Lv44 → Lv45

因果解析(初期)



「……上がるけど、少ない」


 エルナが、静かに言う。


「世界の“評価軸”が違う」


 セリスが、頷いた。


「ここでは、

 **数値より“適応”**が重い」


 遠くで、光が瞬いた。


 塔のようなもの。

 だが、近づくほど、形が変わる。


「……拠点?」


 アリエスが、目を細める。


「かもしれない」


 カイが、慎重に言う。


「でも、

 “歓迎”じゃない」


 空気が、ざわつく。


 この世界は、

 まだ、彼女たちを知らない。


 だから――

 試す。


 アリエスは、仲間を見る。


「ここ、

 地上と同じやり方じゃ無理だね」


 全員が、頷く。


「でも」


 アリエスは、笑った。


「殴れないわけじゃない」


 拳を、ぎゅっと握る。


 胸の奥が、久しぶりに高鳴る。


「ルールが違うなら」


 一歩、踏み出す。


「覚えながら、壊していこ」


 誰も、止めなかった。


 《セブン・ブラッド》は、

 名前のない世界に足を踏み入れた。


 修復者でも、踏破者でもない。


 ただ――

 探索者として。


 空が、少しだけ暗くなる。


 この世界は、

 まだ、入口に過ぎない。


 次に待つのは、

 住人か、敵か、試練か。


 いずれにせよ――

 退屈では、なさそうだった。

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