表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空に立つ翼 ― 天翼族の少女は殴り倒す ―  作者: てん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/58

第49話:世界修復者としての第一要請

 要請は、音もなく届いた。


 鐘でもなく、使者でもなく、

 空気が――揺れた。


 アウレリオンの高台で、

 アリエスは空を見上げていた。


「……呼ばれてる?」


 胸の奥に、

 雲上迷宮の“心臓”と同じ感触。


 次の瞬間、

 視界の端に淡い光が浮かぶ。


《世界干渉通知》

発信元:世界安定機構(暫定)

分類:修復要請(第一例)

緊急度:高



「……ほんとに来た」


 セラフィナが、静かに隣へ立つ。


「選んだのだから」


「うん」


 アリエスは、短く頷いた。


 世界修復者。


 そう呼ばれる立場になった自覚は、

 まだ薄い。


 だが――

 呼ばれた理由は、分かる。


 《セブン・ブラッド》が集まる。


 テーブルの中央に、

 光の地図が投影された。


「場所は?」


 レオンが、即座に聞く。


「……境界域」


 カイが、解析結果を示す。


「国家でも、ダンジョンでもない。

 世界の継ぎ目だ」


 地図の一点が、

 脈打つように明滅している。


異常名:境界崩壊

影響:

・現実と空間の剥離

・破滅級未満/災害級超



「……破滅級じゃない?」


 リィアが、眉をひそめる。


「破滅級になる前」


 セリスが、静かに補足した。


「放置すれば、

 破滅級より厄介になる」


 エルナが、息を吸う。


「……修復、ですね」


「うん」


 アリエスは、地図を見る。


「殴る?」


 全員が、彼女を見る。


「殴る」


 即答だった。


「壊れてるなら、殴って直す」


 それが、選んだ役割。


 出発前。


 セラフィナが、アリエスの前に立つ。


「無理は、しないで」


「する」


 即答。


 だが、

 次の言葉が続く。


「……でも、

 一人じゃやらない」


 セラフィナは、少しだけ目を細めた。


「それなら、いい」


 境界域は、奇妙な場所だった。


 空が割れ、

 地面がずれ、

 音が遅れて届く。


 存在しているのに、

 現実感がない。


《ステータス・オーバールック》

境界域異常点

特性:

・現実剥離

・修復可能(外力要)



「……ここ、

 殴る場所、間違えると危ないね」


 アリエスが、慎重に言う。


 珍しい。


「カイ」


「分かってる」


 カイが、即座に指示を出す。


「殴るのは、アリエスだけ。

 他は、固定と支援」


「了解」


 全員が、即応する。


 アリエスは、

 崩れかけた“現実の継ぎ目”の前に立つ。


 拳を、握る。


 胸の奥が、静かだ。


 破滅級の時の高揚とは、違う。


「……直す、か」


 息を吐く。


 一撃。


 ――ドンッ。


 派手な音はない。


 だが、

 空間が、ゆっくり噛み合っていく。


 歪みが、収束する。


 剥離が、縫い合わさる。


修復進行:60%



「もう一発」


 ――ドンッ。


修復完了



 境界域が、

 静かに、現実へ戻った。


 光が、七人を包む。


《経験値獲得》

アリエス:Lv38 → Lv39

STR:320 → 326

レオン:Lv53 → Lv54

VIT上昇

セリス:Lv51 → Lv52

INT上昇

ミラ:Lv48 → Lv49

DEX上昇

リィア:Lv48 → Lv49

STR上昇

エルナ:Lv49 → Lv50

修復支援適性獲得

カイ:Lv43 → Lv44

境界解析権限拡張



 世界が、静かになった。


 帰路。


 アリエスは、雲の上で伸びをする。


「……思ったより、地味」


「修復だからな」


 レオンが、頷く。


「でも」


 アリエスは、少し笑った。


「ちゃんと直った」


 それで、十分だった。


 《セブン・ブラッド》は、

 世界修復者としての一歩を踏み出した。


 破壊するためではなく、

 壊れないように殴るために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ